バーニングペンとリトルアリョーヒン

なにが書いてあるのかにゃー

 いろいろ届いたものの話。


・去年楽天で注文していたバーニングペンが昨晩やっと届いた。
 文字通り焦がすペンで、バードカービング用の道具として発達したもんらしい。『猫の木彫入門』に書いてあるのを知ってほしくなり、著者ご自身から推薦してもらった機種を購入したのだ。
 朝から早速これを使い、友人にあげるチェス駒の黒ポーンを焦がしてみる。扱いは難しいけど結構たのしい。鳥や猫の木彫を仕上げるための道具だから、やはり毛皮っぽくなるようだけど。
 細かい線を正確に引かないといかんので僕みたいな大雑把な人間には難しい道具だが、だんだん慣れていって、いつかドッグカービングに活かしたいもんである。


・年明けにアマゾンに注文していた『猫を抱いて象と泳ぐ』がさっそく届いた。
 小川洋子さんの新作なんだけど、チェスをテーマにした小説で、こないだ猫のチェス駒を彫ったばかりの身としては妙な縁を感じてしまう。こりゃ購入するしかないと正月から本屋で探したのだが、まだ納品されてないようなのでアマゾンでゲット。
 2章あたりからだんだんとチェスの世界が描かれていくんだけど、とても心地よく文章を味わうことができる。ネットチェスをしながら、相手が考えてる間にページをめくり、相手が次の一手を指した音を聞きながら段落の終わりまで文章を読み、それからこっちの次の一手を指す、なんてリズムがとても心地いい土曜日であった。
 こういう小説を評する際、よく「チェスのルールを知らなくても充分に楽しめる」なんて書かれたりするけど、あえて断言するならチェスのルールを知らずに読んだらもったいない。比喩で描かれる対象を、感覚的に把握してるってことが本当に気持ちのいい作品なのだ。
 まあこういうのは誰もが自分側にひきつけていいたがるもんだし、文章を味わうことで知らないゲームを想像するのがいい、なんて意見もあるだろう。それはそれで否定しないけど、そういう楽しみ方をした人ならなおのこと、あらためてルールを覚えて棋譜を理解できるくらいまで遊んでからの再読をすすめたい。そういう人とメールチェスとかしたら楽しそうだなあ。


・もう10日だが、転送扱いの年賀状がまだ届く。これはやっぱり、まだまだ正月気分でのんびりしてていいよってことだろうか。
 一通は郷里の友人で、年賀状を出しに行く途中に車で事故り、投函するのをすっかり忘れて年を越してしまったとか。こんな奴が郵便局長をやってるってんだから世の中おもしろい。そりゃあ元日に届くばかりが年賀状じゃあないわな。
 新潮社から転送されてきた年賀状もあって、。文庫編集部に届いたらしい。新潮文庫の2作品を気に入ってくれたとかで、“安心して大人になれます”みたいなことが書かれている。その文章にちょっと新鮮な驚きを感じた。
 何かしらポジティブな影響を受けてくれたのなら嬉しいかぎりだけれど、はたしておいら自身には人様を安心させられる大人なんだろーか。どうも自分自身でもあまり安心できる生き方じゃないし、だいたい大人の自覚ってあるのかなあと、ふと我が身を振り返ってしまった。
 ちなみに猫つながりで、この年賀状には猫の写真がプリントされていた。届くもの届くものに猫が関係していると、今年は猫年みたいな気がしてくる。追伸みたいにして“「ムーンショットの解説、おもしろかったです”と書かれていたが、そーいやこの作者のセキグチ先生も猫飼ってるんじゃなかったっけ。
 ともあれ、嬉しい年賀状ありがとうございました。さすがに今から年賀状の返事ってわけにもいかないけれど、猫年の今年も頑張って仕事しようと思っております。