泥縄大工と戸袋屋根

うちの庭の新名所

 ここ数日とりくんでいた第四薪置き場、ついに落成。
 ……と書いて思ったんだけど、無事に完成したのに「落成」ってのも不思議な言葉だよね。辞書によると「落」ってのは完成祝いの式典のことらしいが、なんか崩れ落ちそうなイメージがあるではないか。
 などと思うのも、僕の作った第四薪置き場はまさに、いつ崩れ落ちても不思議はない代物だからである。地面から生えててまだ生きてるミズナラの木を利用して作ってみたんだけど、行き当たりばったりにな設計の上に大工技術はからっきし、仕事ぶりときたら大雑把で雑なのだ。屋根は廃材でできてるので雨が降る前から雨漏りするのは明確だし、山の強風や冬の豪雪に耐えるかどーかも怪しい。まあ崩れ落ちたら崩れ落ちたでいい経験だとは思うんだけどね。
 思えば夏に近所で木の伐採をしてる業者さんがいたので、薪にするから丸太ちょうだいと声をかけたのが始まりだった。思いのほか大量にいただいて、近所にお裾分けしてもまだ手に余り、チェーンソーで切断しはじめたら今までの薪置き場(第一はテラス下、第二は軒下、第三は物干し下に設置してある)では足らないことが判明したという、これまでの経緯からして泥縄式な展開だった。
 丸太をブツ切りにした後は、とりあえず地面には接してないほうがいいよなーと、ミズナラの幹に自転車の古チューブや古タイヤで丸太数本を組み合わせて薪のせ台を作った。しかしそのままでは雨ざらし状態なので、どーにかして屋根をつけたいなーと思ってたら、近所で古別荘の解体作業がはじまって、その解体業者のおっちゃんに「薪置き場つくってるんで材木もらっていいすかー」と声かけたら、持ってけ持ってけと大らかにOKしてくれた上、「明日はベニヤ剥がすし戸袋をばらした材とかも使えるよー」なんて教えてくれた。結局その戸袋廃材を屋根にしたんだから、我ながら場当たり主義&ありがたいのは専門家のアドバイスである。
 今日は朝からミズナラの幹を程よい高さと角度に伐採、そこから梁を伸ばして屋根の枠組みを作ってみた。そこでもう一本長い梁がいるなーと気づいて解体現場に素材を取りにいくという泥縄ぶりだったのだが、えらいもんで歩き始めたとたんに管理事務所の軽トラがやってきて、スタッフをヒッチハイクして現場まで乗せてってもらった。まあ歩いてもいける距離だけど、いくつになってもトラックの荷台に乗るのはわくわくするもんだねえ。
 おかげで午前中には骨組みが完成、昼飯を挟んで午後に元戸袋の板屋根を張る。なにしろ水が漏る屋根だからもうちょっとコーティングした方がよかろうし針も斜めの材を入れて補強した方がいいとは思うけど、なにはともあれ屋根がつくと達成感があるものだ。
 明日からは薪作りに励んでここにぎっしり詰めようと思う。薪置き場ができたから活用したいってことよりも、雪が積もって屋根に負荷がかかりすぎると中央部分からばきっと折れそうな気がするので、そうなる前に中身をぎっしり詰めて薪で天井を支えようって計画だったりなんかして。