『ディスリスペクトの迎撃』とポラロイドキューブの装着

CUBEはドライブ中の笑顔も記録

 11月も終わりかー。どっかで、舞台『カレーライフ』の関西公演レポートを書くと言った覚えがあるけれど、ちょっとタイミングを逸しちゃったな。スタッフ・キャストにいろいろ話を聞いて面白いことや考えさせられることも多かったし、脚本改訂の影響とさらに直したいとこについても書きたかったんだけど、まあそのあたりはメールとかSNSとかの会話の流れで小出しにしていきます。
 とはいえ、迂闊に書いてると面倒くさい事態を招くってこともあるらしい。先日ツイッターにそうやって書き込んでたら、それを覗いた劇場型オツボネーゼたちが憤慨し、僕をdisるって出来事があった。陰口叩いて盛り上がってるだけなら放っておくのだが、わざわざ僕の告知欄に表示される形で罵り言葉を並べてるおっちょこちょいがいたのだ。で、どういうこっちゃいと調べてみたら何やら勝手な思い込みを膨らませて怒ってるっていう興味深い心理が見えてきて……なーんて話をすると長くなる。いろいろ考察できそうだし小説のネタにもできそうなんだけど、またの機会に。
 その出来事が興味深かったのは、年明けに出る新刊のタイトルが『ディスリスペクトの迎撃』に決まって告知されるのと、ちょうどタイミングが重なったから。夏に収録作を書き上げた時には『ミステリードラマの決戦』とつけたけど、そのタイトルが反対され、そんならと新たなものをつけたのである。これはこれで一般的なタイトルらしくはなかろーけども、作中では「ネットにふきだまる悪意」とか「引き倒し系のファン」とかに言及してて、主人公の小説家がそれと対決したりする。それが現実の僕の状況ともちょこっと重なって面白かった。
 ここ数年、ネットで見かけるようになった「disる」って言葉だけど、語源ははどうやら「ディスリペクト」って英単語らしい。敬意を表すリスペクトの対義語たるディスペクトが軽蔑を表し、それを日本語化する中でもっと広義に悪意全般をさすようにもなり……なんて感じの言葉らしい。このまま定着するかどうかは微妙なとこだけど、『ディスリスペクトの迎撃』は創元推理文庫から1月21日発売らしいです。『シチュエーションパズルの攻防』の続編ですので、ネットの悪意と戦う頭脳ゲームに興味おありの方はぜひどうぞ。


 もちろん「ネット=悪意」と考えるのも早計ってもんで、ネットからの恩恵もあるし、善意に触れることも多い。ここ数日の僕は、友人がらみで偶然知ったポラロイド・CUBEという小型ビデオカメラを購入し、別の友人の協力のもとに我が家の老犬に装着し、くろべーカメラマンによる映像を楽しんでいる。この一連の流れも、ネットがなかったら実現してないもんなあ。
 そもそも、この商品を知ったことだけじゃなく、購入する気になったのもネットのおかげ。ユーチューブとかで検索すると、このCUBEで撮った映像がたくさん出てくるんだけど、これがすごく楽しいのだ。その犬をとりまく環境や人との関係が見えてくるようで、眺めていると自然と微笑んでいる。ただ犬の目線で撮ったっていうだけの、なんてことない日常の風景だったりするんだけどね。
 だけど、なんてことない日常でも、永遠に続くとはかぎらない。今年の春の体調悪化以来、くろべーとの散歩を楽しめる日々ってのも永遠じゃない、限られてるんだって思いが強まってるので、くろべーの視線で見た世界を記録しておけるのが嬉しい。自分で保存してるだけだと火事でもありゃあ消えちゃうわけだけど、ネットにアップしておけば半永久的に残りそうな気もするし。
 そんなわけで、我が家に犬連れで遊びにくる皆さま、ぜひ犬カメラ動画を試して遊んでみてください。楽しいよ。