散髪の出来栄えと黒犬の行く末

takeuchimakoto2004-11-30

 髪を切った。
 つっても床屋に行ったのではない。文字通り切ったのだ。自分で。
 自分で自分の髪を切るのは久々だ。月々の家賃や日々の食費にも事欠いてた頃は「散髪に金なんか払えるか!」って意気込みで自分で切ってたけど、何度も失敗を重ねるうちに自分では切らなくなっていた。
 僕は昔から床屋って好きじゃない。頭に大きな傷があるのでいちいち説明すんのが面倒だし、そもそも知らない他人と二人きりってシチュエーションが苦手なのだ(だからタクシーとか教習所とかも基本的に嫌)。子供の頃に行かされてた床屋で嫌な思いをしたってのも大きいかな。
 それでも今の家に越してきてからは近場の店を何箇所か試してたのだが、もう一度行きたいって思えるとこには当たらなかった。そんで最近は長いこと伸ばしっぱなしにしてたんだが、さすがにうっとーしくなってきたのだ。で、今日の入浴前に思い立ってジョキジョキ切りまくる。
 まあ外見を気にする商売じゃないし大した髪じゃないのでえー加減にやったのだが、これが意外とうまくいった。100円ショップで売ってるよーなハサミだし、後頭部なんかは鏡も見ないで風呂場で切ったってのに、自分でも不思議なくらいにちゃんと切れてる。前髪を下ろすとマッシュルームカットじゃねえかって話もあるが、適当にごまかせば下手な床屋に行った時よりまともなくらいだ。
 湯上りに髪を拭き、俺って才能あるかもしれないと自惚れるアホタケウチ。もーちっと切りたい気分であったが、生憎と自分の髪はこれ以上切るとこはなさそうである。
 残念だなと思ってると、おいらの膝にひょいっと前脚をかけてくる黒犬が一頭。──そーいやこいつの毛って、人間の髪に似てるよな……