逃避願望と『のだめカンタービレ』

 確定申告の書類作りにとりかかりつつあるのだが、相変わらずこれに関してはちっともやる気がしない。今年こそ税理士に頼もうと思ってたのに、なんだかんだで自分でやることになっちゃったしなあ。
 その逃避願望からなのか、ふと新しい長編小説を書きたくなってしまった。頭の中でほぼストーリーが固まってるし、何を中心に据えるかも分かってるし、こういうのは受けるだろーなーって自覚もあるのだが……そうなると書きたい衝動が高まる一方、書きたくねーなーって思いも強いんだよな。
 他にやることが多いって状況でもあるし、内容的にも「ダーティー」って仮タイトルで呼んでるくらいで人間の嫌な面とか毒舌文章とかが多くなりそうなのだ。僕の理想とは割に遠いし、これまで書いてきた系譜とも明らかに異質だったりする。書くべきか書かざるべきかと迷いながらいっそ漫画原作ってことで他の人書いてくんねーかなーなどと思ってるが……そんなヒマあったらとっとと電卓片手に申告書作れって話なんだよな。


 漫画といえば、そんな状況だとゆーのに、友達からもらった『のだめカンタービレ』を熟読してしまった。
 逃避願望は最良のスパイスだって点はさておいても、楽しい漫画だなあ。これも貰い物の『ジャズで聴く来生たかお』をBGMに、音楽の楽しさにひたる時を過ごす。
 僕自身は音楽の素養は全くなく、絶対音感がないどころか楽譜も読めない。カラオケは結構好きだけど、「キーを変える」って概念がいまだに分からない。自分の声にあわせて伴奏の音の高低を変えるっつっても、上げていいんだか下げていいんだか判断できないってレベルなのだ。
 で、機械の操作が分からんなら自分の声を変えちまえとなるわけだが……これにはおのずと限界がある。スピッツの『ロビンソン』だったかな、サビの一番肝心なとこですっげー高い音が出る曲を歌うと、定番コントみたいに的確にずっこけることができる。そりゃあ我ながら見事なほどだが、そんなのなんの自慢にもならねえよなあ。
 分からないついでに、『ジャズで聴く来生たかお』と『ジャズで聴く竹内まりや』から受ける感興は明らかに異質なんだが、その違いを言葉でうまく表現できない。懐かしいポップスがインストのジャズになると気持ちいいってことは分かったが、それって要するに人の声より楽器の音の方がいいってことなんだろーか。自分はカラオケくらいしかできないのに身勝手なもんである。
 ま、そんな音楽音痴(へんな言葉だな)にも楽しめる『のだめカンタービレ』はすばらしいってことであります。