木工作業とクレーム対応

 夜、テレビをつけっぱなしにして木工作業。
 僕の父方の家系は大工町に住む大工さんなんだそうだが、その血筋なのかして僕は昔からこういう手仕事が好きなのだ。寸法通りに正確に切ったり組み立てたりってのは苦手だけど、木を彫ってすごしてるとしばし時を忘れる。
 ところが今夜は、テレビから流れてきた音声に作業の手が止まった。──「奇跡体験アンビリバボー」とかって番組なんだけど、そこで外国の家電メーカーのろくでもないクレーム対応についての再現ドラマをやってたのだ。
 お客さまセンターみたいなところに電話をしてもなかなか繋がらず、やっと連絡ついても担当者は約束を守らない……なんてなストーリーで、「日本では考えられないこと」だとか言ってたのである。僕は声を大にして言いたいのだが、日本だって似たようなことはあるぞ!
 しかも僕の場合、相手は天下のソニーである。問題の家電ってのはヒット商品のPS−Xである。
 去年の暮れだったろうか。うちのPS−Xの調子が悪くなり、保証期間ももうすぐ終わるって状況だったのでメーカーに電話してみた。しかし何度かけても機械音声で話し中だの回線が込み合ってるだの営業時間が終わってるだの言われるばかりで、しつこく2〜3日かけ続けてようやくメーカー側の人間と連絡がとれた。
 ところが問題点を説明しても、メーカー側の初期不良としてはそういう症状は報告されてないとか言われるだけで、まともな対応はしてくれなかった。買った後でシステムをバージョンアップしてるかと聞かれ、してないと答えるとそのためのCD−ROMを送るからそれで様子を見てくれとのことだった。
 でも僕の訴えてる症状はバージョンアップとは直接関係ないことだった。それをインストールしても直らなかったどうするんだと尋ねると、「その時はまたこの番号にお電話ください」という。この番号って言われてもろくに繋がらないだろうがと文句をいうと「しかし他にお教えできる番号はありません」だそうな。お客さまセンターなんてのは名ばかりで、客へのサービスをすることよりも自分たちのルーティンワークをこなすことを優先させてるのだ。
 そこで僕も粘ってみた。あんたがクレームの電話を受けたんだから解決するまで責任持つべきだろうと諭し、電話がろくに繋がらないことと保証期限がもうすぐ切れることを説明してそっちから電話してほしいと頼んだのだ。相手もそれで納得し、こっちの連絡先を伝えいつ連絡もらえるかを確認して電話を切った。
 で、数日して問題のCD−ROMが届いた。それでバージョンアップは無事に終了したが、僕の抱えていた問題の方は解決しなかった。仕方ないから電話もらった時にまた文句言おうと思ってたのだが……相手は約束を守らなかった。
 電話くれると言ってた時期には、何故かもう1枚全く同じCD−ROMが送りつけられてきただけ。アホな処理係はこれでクレーム対応をしたつもりなのかしらないが、僕の訴えた問題は解決されずじまいだったのだ。そのうちに僕は2ヶ月にわたる長期旅行に出てしまい、再度連絡する暇もないまま不調のまま保証の切れたPS−Xが残された。まともに対応してくれないクレーム処理係に対して再び電話する気にもなれないし。(電話したら今度はCD−ROMが4枚になるか試してみたい気もするが)
 「クレーム対応の番号はろくに繋がらないようにしておき、クレーム処理には不誠実に応じ、期限切れに持ち込んで客に諦めさせればOK」なんてのが世界のソニーのクレーム対応マニュアルだとは思いたくないもんだが……おいらのPS−Xには今後の奇跡体験は期待できないのだろーか?