手作りチェスと日豪インタビュー

takeuchimakoto2005-04-30

 一カ月近くかけて製作していたチェスが完成。
 オーストラリアでアボリジナルアートなどをたくさん見てきたせいか、帰国してからふと木工がしたくなり、あちこち探して昔ながらの小刀を買ったのだ。それを使って木をがしがし削り、6種32個のチェスのコマを削り出してたのである。
 僕自身は将棋やチェスのようなゲームはからっきし弱く、チェスのルール自体も今回のオーストラリア旅行中に初めて把握した。これまで遊んだことがないわけじゃないが、僕も周囲の友人もアホ揃いだったので、これまでは変則将棋みたいなルールでやってたのだ。今でもまだ細かいとこはあやふやで、クイーンとキングの正式な初期配置やキャスリングの決まりごとなどはよく分かってない。(今度だれか教えてください)
 旅行中にはシドニー郊外のマーケットでガラス製のチェスセットを入手して旅先で知り合った人々と遊んでたのだが、結局それはウェイバリーのフラットに置いてきた(川居くん川崎くん桐生くん、元気ですか?)。しかしせっかくルールを覚えたのに日本で遊べないのは悲しいので、いっちょ自力で作ることにしたのである。
 使用木材は椿。もともと庭に生えてたものを伐採して乾かしたものである。結構硬くて両手が筋肉痛になるほどったが、僕が日当たりと風通しの良さを求めて切り倒したものなので供養の意味もあるのだ。製作中に手元がくるってざくっと手のひらを切っちゃったりしたが、それも椿たちへの供養といえないこともない。
 ボードの方は百円ショップで見つけた木っ端木材を寄せ木細工のように組み合わせて作ってみた。一辺24センチのゲーム版なので、コンパクトになるように4つの擬似三角形を組み合わせて8×8マスのボードが完成するようになってるのだ。使用したピースは3×6センチのものを24個と3×3センチのものを16個。それらを並べてシンメトリーになるようにデザインするってのも、パズルみたいで結構楽しかった。(さてどんな設計になってるでしょう?)
 んで削ったものに彩色(つっても黒だけど)してニスがけして、今日の午前によーやく完成。ベランダで乾かしてたら誤って黒のポーンを屋根に落っことし、ころころ転がって雨どいに入り込んだりってトラブルもあったが、どーにか無事に切り抜けた。なにしろ手作りなので形が不揃いだったりニス塗りが下手だったりはするのだが、まあそれも味である。
 こうなると早速遊んでみたいけど、くろべーはチェスには全く興味がないよーで大口あけてあくびしている。……てなわけで、今後うちを訪れる客には無理やり相手をさせてやろうかと思ってますんで皆さんどーぞよろしく。


 コマの乾燥中は数駅先まで買い物に出ていた。
 ペットショップでくろべー用の探し物をしてたのだが、そこはトリミングサービスなどもやってる大型店舗で、飼い主用の待ち合いスペースにはペット雑誌もたくさん置いてあった。「愛犬の友」も1冊あったのでぺらぺらとページをめくってみたところ、僕のエッセイのタイトルは偶然にも「おもちゃとくろべー」。目当てのおもちゃもゲットできたし、こういうのは嬉しい。
図書館の水脈 (ダ・ヴィンチ・ブックス)自転車少年記
 その後で最近できた大型ショッピングモールに移動してぶらぶら見物。本屋を覗いてみたら僕の『自転車少年記』と『図書館の水脈』も置いてあり、いい本屋じゃないかと感心。浦沢直樹の『PLUTO』の2巻が出てたのも初めて知り、もちろん即ゲット。1巻は手塚治虫バージョンのアトム本とセットだったので豪華版を買ったが、今回の豪華版はシールやマーブルチョコケースがおまけってことなんで食指が伸びずに普通のコミックスを購入した。シリーズの版形が不ぞろいだと本棚に並べる時に困るけど、また浦沢手塚2冊組の豪華版を出してくんないかなあ。
 モール内にはサイクルショップもあり、ロードレーサーの部品を安く買えたのも嬉しかった。ママチャリやMTBもどきばかりの自転車屋じゃなくてちゃんとスポーツ用の自転車を置いてあったし、僕にとっては結構嬉しいショッピングスポットである。オーストラリアにいる間は巨大ショッピングモールをたくさん見かけて羨ましく思ったもんだが、日本の田舎にもこういう場所が増えてきつつあるのねん。


 帰宅するとポストにでかい郵便物が入ってて、差出人は日豪プレスとなっていた。4月頭に僕のインタビューが載った号が出てたらしいのだが、その掲載紙が届いたのだ。なんだかんだとオーストラリアを連想する日だなあとしみじみ。
 送ってくださった副編集長いわく「なんと郷ひろみと同列です!」とのことだったが、たしかに表紙で郷ひろみ写真と僕の写真が並んでいる。その背景(というかメイン写真)になってるのはオスカー女優のケイト・ブランシェットだし、こういう媒体で自分の写真を見るってのも不思議なものだ。
 肝心のインタビュー記事もすごく本格的かつ核心に踏み込んでいて、インタビュイーとしても書き手としても感心させられてしまった。ビール飲みつつ酔っ払いつつの取材だったし、取材終了後には「テープ録音はしましたけど適当に作って書いちゃいます」なんて言われたので密かに大丈夫かいなと思ってたんだけど、そんな心配など全くいらない立派な記事である。適当に作るどころか僕の発言は全て言った覚えのあることだし、むしろそこまで書いちゃうかよと苦笑させられるほどだった。
 本を出す仕事をしてるといろんな雑誌や新聞から取材を受けるものだけど、その結果出た記事に感心することって少ない。まあ内容自体は取材を受けた本人にとっては目新しくないんだから当たり前だけど、微妙にニュアンスが違ったり記事としてまとまりが悪かったりってことも結構多いのだ。そこいくとこの日豪プレスのインタビューってすごくクオリティーが高い気がする。
PLUTO (2) (ビッグコミックス)
 『PLUTO』2巻も、本家アトムや1巻と読み比べてじっくり再読を楽しみたくなるような作品だったし、今日は素敵なアイテムがいっぱい手に入った日だったなあ。