管理委託と原風景

takeuchimakoto2005-05-26

 まずは業務連絡。著作権の考え方 (岩波新書)
 竹内真の作品を使用した試験問題に関する著作物使用許諾については、日本文芸家協会に委託してあります。問題集を出版なさりたい出版社の方は同協会の著作権管理部にお問い合わせください。
 午前中、仕事してたら電話がかかってきて、申請してた管理委託がようやく受理してもらえたのだ。ここ2ヶ月でたくさんの教育出版社からの書類がダンボール箱に一杯届いたが、これでよーやく面倒な書類書きから解放されたようだ。
 たしか最初に申請したのが去年の秋くらいで、どうなってますかと問い合わせたのが今年の1月末。えらく手間がかかってしまったのは、僕が“著作権を侵害された岐阜聖徳学園大学付属中学の問題については使用を許可しない”って条件を付け加えたせいだそうな。そのせいでこの春の雑務が増えてたのかと思うと改めて腹が立ってくる。
 ところで、先日何も知らん人から「試験問題のおかげで儲かっていいね」と言われたのだが、羨まれるほど儲かっちゃいない。僕の小説は中学や高校の入試に使われまくったわけだけど、それで著者に入ってくる金額なんて中高生のお小遣いにも敵わないくらいなんだよ、実際の話。


 ともあれ、面倒ごとが片付いたのはいいことだ。
 天気も気持ちいい五月晴れなので、執筆が一段落したらサイクリングに出発。ついでに昼食と買い物と図書館での資料調査も済ませる。
 最近は「きれいで太い舗装路で人も車も少なく周囲は気持ちいい山林」っていう場所でロードを乗り回すのに凝っている。うちから丘を一つ越えて走ってくとスーパーや図書館が固まってる新興住宅地があり、もう一つ丘を越えると絶妙のサイクリングスポットがあるのだ。スーパーでスポーツドリンクと稲荷寿司を買い込んでからサイクリングに繰り出せば、ちょっとした遠足気分である。
 これもバブルの遺産なのか、丘陵地帯の中に「造成されたもののろくに買い手のつかなかったっていう工業団地」があって、今では研究所はあっても工場はないという静かな地域となっている。空気もいいし、休憩用の公園は完備という素敵な場所で、手頃な坂やカーブやサーキット状態の道にも事欠かない。アスファルトにブレーキ痕が残ってるとこを見ると、夜は暴走族の兄ちゃんたちの遊び場になってるんだろうな。
 田舎暮らしをしてるというと、都会嫌いで開発という名の自然破壊を憎んでるように思われることがある。しかし、高度成長も過ぎ去った70年代に生まれ育った僕は手付かずの自然なんてもんにはほとんど縁がなかったし、こういう「自然を切り崩して整然と造られた場所」ってのが結構好きである。都会を離れたのは狭くて人が多いのが嫌だったからであって、便利で刺激が多いこと自体は全然嫌いじゃないのだ。長谷川逸子/ガランドウと原っぱのディテール
 工場用に区画整理されながら売れ残って雑草の原っぱとなってる土地を見ていると、そのへんの感覚が改めて意識されてくる。──そーいや、くろべー散歩でよく行く広場のあたりは「宅地造成の売れ残り区域と建築残土埋め立て地の境界線」みたいな場所で、今では不法投棄の粗大ゴミが散乱している。近所の少年たちはその粗大ゴミで秘密基地みたいな遊び場を作ってるのだけれど、僕の原風景ってむしろそういうとこなのかもしれない。