逆境ナイン番組と島本和彦伝説

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 朝、HDD録画しといた番組をチェックしてたら、『逆境ナイン』のメインキング番組を発見。昨夜放映してたらしい。
 僕は原作は刊行直後に読んで大好きだったんだけど映画化のことは全く知らなくて、最近CMを見て初めて知った。大作ラッシュのこの時期に公開ってのがまさに逆境、どんな映画になんのかなと思ってメイキングを録画しといたのだが……
 これが実に面白かった。こないだやってたスター・ウォーズのメイキングの100倍面白い。映画同士の実力差は謎だが、メイキング番組だけで勝負をしたら問答無用で『逆境ナイン』の勝利である。
 なにしろ島本和彦の漫画をそのままテレビで流してるだけで面白いんだから無敵である。藤岡弘が真面目にインタビューに答えてるって映像がこんなに似合っててこんなに笑える物語は他にあるまい。それだけで永久保存版って気がする。
 映画の宣伝をする際に、まずスタッフの熱血バカぶりを熱く描いてるのが見事だ。熱血物語の通奏低音としての喜劇性っていう島本テイストをそのままテレビ番組にしてあるのが楽しい。熱血性と喜劇性、どっちが主でどっちが従なのか分からんあたりも島本漫画を読むときの醍醐味みたいである。
 番組向け書き下ろし漫画(どこかに掲載もされるのかな?)ってのも素晴らしかったし、喋ってる島本和彦の映像も初めて見られて嬉しかった。漫画家や作家の本人ってのは大抵作品に比べて見劣りがするもんだが、島本先生の最後の決め台詞は実に見事であった。ココリコ田中に演出つけてるシーンもあったが、漫画だけじゃなくて声に出す場合もセリフ廻しの巧い人なんだなあ。


 どれも又聞き&うろ覚えなのだが、芸人や漫画家やゲーム屋の友人知己から聞いた島本先生伝説。僕も真偽のほどは知らないので(真に受けて広めちゃだめだよ)、詳しく知ってる方は教えてください。
・『逆境ナイン』の島本和彦と『エヴァンゲリオン』の庵野秀明とは中学だか高校だかの同級生。陰気な庵野少年は熱血島本少年にずっと憧れていた。
・ディズニーランドのシンデレラ城、魔王か何かを倒すクライマックスでは1本しかない武器の剣を子供に渡すのがお約束だが、島本先生が入場した場合は必ず彼が剣を取り、アトラクションの演出を軽々と凌駕する熱血ゼリフと共に、必要以上にダイナミックに敵を倒す。
・どうしても島本和彦の舞台を用意したいという熱血編集者が、会社に逆らい無理を通して「少年サンデーGX」って雑誌を創刊してしまった。

 どれもこれも素晴らしい伝説で、たとえウソでも僕は大好きである。本当だったら嬉しいし、ウソならウソでもっと嬉しい。


 いま僕は長編書き下ろしに取り組んでいて、これを最後まで書き切ったら映画館にエピソード3を見に行こうってのを励みにしていた。んがしかし、ここであえて『シスの復讐』をスルーして『逆境ナイン』を見に行ったらカッコいいんじゃねーかな。そのカッコよさを認めてくれる人は少ないかもしれんけど。
 映画デートの際、スター・ウォーズを見に行こうとする男に対して「絶対『逆境ナイン』に行く」と主張する女の子でもカッコいいかもしれない。そのカッコよさを認めてくれる人はもっと少ないかもしれんけど、少なくとも僕は認めちゃうね。