自動車のチェックと美術展のグッズ

takeuchimakoto2005-11-15

 朝の散歩に出るとき、ふと思い出してデジカメを持参した。
 このところ、くろべーにはマーキング以外に日課ができたので、それを撮影することにしたのだ。我が家の門を出た直後、くろべーは必ず駐車場の車の周囲を歩き回って中を覗き込むのである。
 もともと車好きの犬だから人んちの車に対しても覗いたり乗り込んだりって行動をとることがあったのだが、「自分の家の車」と認識してからは必ず入念にチェックするようになった。乗りたがってるというより、中を覗いたり匂いを嗅いだりしないと気がすまないようなのだ。これは一体どういう心理なんだろう?
 「うちに車があるから何かいいことがあるんだ」って程度ならいいのだが、車の中に誰かいるかもしれないと思ってるのなら気になるところだ。我が家に越してきた時には、彼は前の飼い主さんの車に乗ってきたのである。もしもくろべーが「いつか車で迎えにきてもらえるんだ」と思ってるのだとしたら切ないなあ。
 そんなわけで……前の飼い主のささみさん、遠いところ大変だとは思いますが、お暇があったらくろべーに会いにきてやってはもらえませんか? 僕がペーパードライバーを脱してくろべー連れて行けるのなんて、いつになるか知れたもんじゃないので。


 朝食後、洗濯したり短編の推敲したりの後で外出。
 一件用事を済ませてから御徒町のラーメン屋「花蔵」で昼食。「花蔵大空」っていうエビ風味ラーメンが美味である。うちの近所はあんまりラーメン文化が高くないので、たまに東京に出るとこういう店は嬉しい。エビの風味とフライドオニオンの旨みが活きたスープを一滴余さず飲み干して完食。僕が入ったときには空いてたが食べ終わる頃には行列になってたから、結構な人気店なんだろうか。
 食後にのんびり上野公園を散歩。緑の中を気持ちよく歩いてるとチンドン風ポップアレンジの「テキーラ」が聞こえてきた。「お、かぼちゃ商会だ!」と思ってマネージャーさんに挨拶しようかなと近寄ってくと、これが全くの別バンド。そーいやベース音が聞こえないなと思ったんだよな。
 紅葉と落ち葉に彩られた秋の上野公園ではそこかしこで大道芸のアーティスト達がパフォーマンスを繰り広げてて、そういう場所をのんびりと歩くのはとても心地いい。こういう文化が満喫できるのが東京ならではだよなーと思いつつ、目指すは東京都美術館プーシキン美術館展にシニャックの絵が出てると聞いて見に来たのだ。
 ちょうど日展も開催されてて館内は平時とは思えないほどの混み具合だったが、久々の美術館はやっぱり楽しい。シニャックの作品はサン・トロペの松がモチーフで、隣にはクロスの作品があるのが面白かった。どっちも点描で、作者の地元の樹が中心に描かれてたのだ。こういう展示の仕方って初めてだったんで、ほほーっと2作品に見とれることしきり。クロスとかピサロとかリュスとかって、スーラやシニャックの二大巨頭と比べるとかすんじゃうけど、展示の仕方によっちゃあすごく面白い存在なんだよな。
 しかしミュージアムショップではちょっとがっかり。えらく混んでた上、絵葉書をはじめとした販売グッズには新印象派のしの字もなかったのだ。マティスの金魚金太郎飴は面白かったけど、こういう美術展グッズの「モネとルノアールゴッホピカソを印刷しときゃいいだろう」って姿勢がシニャックファンの僕には納得できない。そりゃまあ、有名どころだけ揃えときゃあ日本の大衆は満足するんだろーけど、ロシアくんなんてキャラクターを前に出すくらいならあえてシニャック&クロスの品を作っておくのが企画展としてのオリジナリティーってもんではないだろーか。


 てなことを考えながら帰宅してメールチェックすると、担当編集者からのメールが二通。今夜は短編を入稿して明日からは中断してた長編にとりかかる。こういう充実感ってのは悪くないね。