痛い肋の経過と寒い朝の映画

takeuchimakoto2006-01-10

 昨日コケた痛み、いくらかはマシになってるが、打ち身の痛みの奥に初めて経験する鈍痛があるあたりが不吉。自転車に空気を入れようと身を屈めただけで痛いのはヤバいと思うべきか、自転車乗る元気があるんだから平気と思うべきか。
 まあ日常生活には支障はないのだが、一番困ったなあと思ったのは寝床シアターで映画を見るのがちとつらいことだった。枕元のプロジェクターから反対側の壁のスクリーンに投影されてる映画を布団に入って鑑賞するのだが、スクリーンにクビを向けるとずきっとくるのだ。厳寒のこの冬、寒い朝には寝床でうだうだしながら映画やドラマを見るのがすっかり習慣になってるので、これができなくなるのは悲しい。
 痛みをこらえて同じ姿勢をとってたらふっと楽になったが、そうすっと骨の痛みじゃなくて筋肉の痛みなんだろうか。よくわからんが、とりあえず痛むところに湿布など張ってごかますことにする。(と書いてきて気づいたが、要は医者に行きたくないんだな)


 そうやって最近いっぱい見てる映画のことを書いておこう。この冬に見た映画やドラマ作品の中で、気に入った順からランキングである。多分もうちょっと見たと思うんだけど、タイトルさえ思い出せないのはランク外じゃ。セルやレンタルのDVDやビデオ、それからテレビで録画したやつもあったかな。
 映画やドラマのちょっとした感想を書いとくとたまにそれを見た人がメールをくれるけど、そういうのを読むのって結構楽しいのだ。(DJコーナーへの投稿やプライベートアドレスへのメールは一通り読んでます。全部に返事を書くことはできなくてすいませんが)


『ハード・デイズ・ナイト』
 いわずと知れたビートルズ映画。不勉強ながら今まで見たことなかったんだけど、これが実に楽しかった。モノクロ映画をこんなにノリノリ気分で見たのって初めてかもしれん。
 なにしろのっけから編集のテンポがいいし、そのテンポに音楽とハンディカメラで撮ってる映像が勢いをつけている。そういうところは映画『青春デンデケデケデケ』に通じる気がしたが、これは大林監督が意識してたのかな。ポールのお爺ちゃん役のすっとぼけた演技も素晴らしい。
 原作小説の方の『私家版・青春デンデケデケデケ』の中でもこの映画について言及されているが、この映画をリアルタイムで見てたビートルズファンは、そりゃ嬉しかっただろうなあとしみじみ思う。
新選組! 土方歳三最期の一日』
 こちらは2004年の大河ドラマをリアルタイムで見てた者に与えられた至福ってやつだろう。土方役の山本耕史はもちろん、榎本総裁も新選組の隊士も、メインの役者が皆それぞれによかったなあ。
 僕は何年か前に函館の町を歩き回って土方歳三の足跡めぐりみたいなことをしたんだけど、土地勘を踏まえて見ると戦乱の様子もよく分かり、三谷脚本の大きなうねりみたいなもんが味わえた気がする。五稜郭と函館港と函館山、そして一本木関門の微妙な距離感そのものが戦を動かしてたんだねえ。
ジョゼと虎と魚たち
 ラストの終わり方はちょっと不満だったんだけど(せっかくヒロインが広い世界に出て行ってるんだからもっと明るいラストにしてほしいと思っちゃう)、それでもいろんな意味で心に残る作品だった。映像や編集や笑いのセンス、主役二人の演技や音楽まで、どれも完成度高いなーと思うし、池脇千鶴の出演作や犬童一心監督の作品をもっと見たくなった。(どっちも初めてだったのだ)
 勝手にタイトルを解釈するならば、海の底にたとえられる世界にいたジョゼにとって、広い外界を自由に動く存在が魚であって、その外界への恐怖の象徴が虎ってことなんだろうか。どこに力点を置くかは好みの問題だろうけど、僕としては魚になったジョゼの歓喜みたいなものを一番見たいと思うのだ。
スウィングガールズ
 矢口史靖監督の作品は『裸足のピクニック』から見てる(一緒に見た女の子が見終わってゲンナリしてたっけ)けど、最近まで「ふみやす」じゃなくて「しのぶ」と読むと知らなかった。ジャズのノリが楽しい映画だったが、ところどころでテンポに軽い余りが出る感覚が不思議だった。たとえばスーパー前の演奏シーンとか、一連でやってもいいとこで間奏的に母ちゃん婆ちゃんの芝居が入るのは一体何なんだろう。しまいにそれが心地いいような気さえしてくるのが不思議だが、これが矢口流オフビート感覚ってもんなのだろうか?
古畑任三郎ファイナル』
 3夜連続だったけど、初日のvs石坂浩二のものが一番よかった。役者の力量としてもやっぱり各上って感じだったし、倒叙ミステリーであることを前提にしてるからこそできるドンデンの台本ってのが素晴らしい。
 アンチ三谷ドラマの人なら人物の心理の描き方にケチをつけられそうだけど(肉親の情のみならず師弟の情はなかったのか、確率5割で自分が死ぬ殺人ってありなのか、最期に踊る気になるもんなのか……)、そういう心理のリアリズムなど軽々と放っておける楽しさってのも、やっぱりあるんだよなあ。
『オールウェイズ』
 最近の邦画じゃなくて、随分前の洋画のスピルバーグ作品。ヘップバーンって年をとってからも妖精役だったんだなあとか、ドレイファスの軽めの演技ってのもいいなーとか、年配の俳優をしみじみ鑑賞しちゃう作品であった。
エデンの東』『怒りの葡萄
 これは2作セットで。まあなんというか、スタインベック映画のお勉強のつもりで見た。
 ジェームス・ディーンの演技を見ててふと思ったが、「グイン・サーガ」のマリウスの本名はこの映画のイメージからつけられたのかな。それにしても兄ちゃんは気の毒だ。
『裸のサンタクロース』
 レスリー・ニールセン作品。わりにウェルメイドというか、こういう無難でハートフルな作品も撮るんだなーと驚いた。ブラックでスラップスティックなイメージがあったので、ちと食い足りない気もしたのだが。
『クイーン・コング』
 人様に語るのもためらわれるほどの、しょーもないB級映画。プロジェクターで鑑賞する気にもならず、テレビで流して何かの片手間に見ていた。
 キングコングがリメイクされたのに便乗して深夜のテレビで放映されただけだと思うんだけど……広川太一朗が吹き替えをやってるってだけで不思議に楽しい映画になってしまうんだから、声優の力ってすごいよなあ。