ハゼ釣りとイヌ釣り

ケータイで撮影

 車に乗って初めての海釣り。
 同棲生活を始めるために京都に引っ越すという友人から、関東にいるうちに遊ぼうよと誘われたのだ。互いに辺鄙なとこに住んでるので電車で会いに行くのは面倒なのだが、僕の方も車移動が可能になったので互いの家の中間点あたりまでなら一時間ちょいで行ける。そんじゃあと待ち合わせた海浜公園はやたらと広くて合流に戸惑ったが、それでもどーにか駐車場で落ち合えた。
 で、僕の車にはくろべーが乗っていて、彼女の車には釣竿が3本も載せてあった。砂浜や公園で遊んだり犬もOKの店のテラス席でランチビール(ノンアルコールだからね)を飲んだりした後、釣具屋で仕掛けやエサを買って釣り場に移動。
 最初は投げ釣りをやってたのだがさっぱり当たりは来なかった。水面ではでかい魚が跳ねてるってのに、針には全くかからないのだ。最初は「おお釣れそうだ」って思えた光景が「バカにしてんのかこの野郎」って変わってくる。
 天気は悪くなかったが外にいるとだんだん冷えてくるので、僕の車のハッチバックを開けて車内にマットとゴザを敷いて寛ぐ。釣竿は適当に固定しておき、そーやって快適なところで寛ぐってのが基本なんだそうな。
 しまいに飽きてきて、彼女が他のポイントを求めて遠くに行った時には、ゴザの上から寝袋を広げてくろべーと共に寝転がる。そうやって僕らが昼寝してる間、女一人で釣りしてた彼女は怪しいおっさんにナンパされそうになって追っかけ回されてたらしい。わはは。
 てなわけで業務連絡:共通の知人の方々は写真を見れば彼女が誰だか分かると思いますが、この通りお元気で連休明けには実家を離れて京都にお引越しだそうであります。


 そのうち投げ釣りを諦めて近場のハゼ釣りに切り替える。リール竿の先に小針がたくさんついた仕掛けを繋げ、足元のすぐ近くに糸を垂らすのだ。
 すぐに「釣れた!」って声がして、見るとかわいい小魚が彼女の竿にかかっている。結構簡単に釣れるようで、そうなると車に引っ込んでいた僕も俄然やる気になってくる。くろべーと共に外に出て釣り糸をじっと睨む。
 僕の竿にもやがて当たりが来たが、途端にくろべーが反応した。糸の先でピチピチ跳ねてる獲物に本能を刺激されたのか、ぐぐっと海の方に身を乗り出したのだ。地面が途切れてることも忘れたようで、勢い余って前足がずるっと滑って落っこちそうになっている。
 慌てて抱きとめたからよかったけれど、下手したら小魚じゃなくて大型犬を釣り上げなきゃいけない羽目になるとこだった。


 途中で入れ食い状態なども経験し、夕方までやって二人で十数尾を釣り上げる。収穫を二人で山分けして別れ、帰りがけにスーパーで天ぷら粉を買って帰宅。
 風呂を沸かしてる間に包丁でハゼのワタを取り、湯上りに中華鍋で油を熱してハゼ天に挑戦。日頃は揚げ物なんてしないし魚の天ぷらなんて初めて作ったが、からっと揚がって塩味で食べるとビールによく合う。はた画伯の漫画に出てきた「俺って天才?」って場面をふと思い出す。
 ハゼが気になって仕方のないくろべーには、小さいのを竹串(これも庭の竹を削った手作り)に刺して素焼きにしてプレゼント。8尾のうちの5尾が天ぷらで僕のもの、3尾が素焼きでくろべーのものとなった。