連休の仕事と迷子の雌犬

コーギーよりちょっと大きいくらい

 連休に浮かれる世間に背を向けて、朝からワープロに向かって仕事。『ワンダー・ドッグ』の手直し作業である。
 その最中に玄関でチャイム音。居留守をつかおうかとも思ったが、くろべーがいつになく吠えまくりながら階段を駆け下りてったので僕も後に続く。
 ドアを開けると近所の奥さんと見慣れぬ犬がいた。迷い犬なんだそうで、マメに散歩してる僕なら飼い主に心当たりがあるんじゃないかと聞きにいらしたんだそうな。それがメスだったのでくろべーが大騒ぎしたってわけである。
 僕の仕事はちょうど、主人公のオス犬が放し飼いのメス犬と初体験というシーンを書いてるとこだった。くろべーは鼻声も高らかにその迷い犬にアプローチをかけようとするが、メスの方は恐がったり威嚇したりであっという間にふられてる。現実は小説ほど甘くはないのう。

 そのメス犬だが、白と茶色でなかなかかわいい顔立ちだし、人も恐がらずにお座りなんかもできる。ちゃんと首輪もしてて鑑札もつけていた。
 なら保健所に問い合わせれば飼い主が分かるんじゃないのと思ったが、保健所も連休でしまってるので確認ってわけにもいかないんだそうな。それで地道に聞き込みってわけだが、僕にも心当たりはなかった。
 さっき保護したばかりだというので、腹減ってるだろうとパンの耳や煮干し(くろべーのおやつ用に玄関においてある)を出してやると、喜んでばくばく食いまくり。小柄な体の割に結構な量をたいらげたし、くろべー皿に水を入れて出してやったら飲みまくり。昨日の雷雨で雷の音にパニクって脱走し、飲まず食わずでふらふらさまよっていたのだろうか。
 それにしても、僕は最初に食い物に意識が向いたが、保護した奥さんの方は汚れてるのを見て真っ先にブラッシングしてやったんだとか。こういう感覚の違いも男女差というか、単においらが食い意地張ってるだけどいうか。


 えー、そんなわけで。
 ネットでは僕の居住地を内緒にしてるので保護した場所も明かせないんですが、かわいい迷い犬はうちの近所のオバラさんってお宅で保護されています。お心当たりの方はご一報ください。