税の煩雑さと時の足踏み

このトンネルが脱出口

 天気がいいのでサイクリング。
 どこ行こうかなーと思い、役所に電子証明書を貰いに行くか……と思いきや、ネットでちょっと調べてみたら僕と同じやり方で申告しよーとしてる人が住基ネットカードと電子証明書を取得した後でさらに数千円のカードリーダーを購入したあげく、その先にもさらに面倒な手間が待ってるなんて書いてる。この馬鹿馬鹿しい煩雑さは何なんだ一体。
 そんなくだらねーことに付き合ってられるかーと、サイクリングは純粋にサイクリングとして楽しむことに。通ったことのない道を通ってきれいな新興住宅地をぐるっと走り回り、高低差のでかい坂をがーっと下る。道もきれいに舗装されてるし、こういうのは気持ちいいねえ。

 さらに知らない田舎道に突っ込んで坂を越える。やがていかにも鄙びた農村って感じの集落にさしかかったが、そこがなかなか不思議な場所だった。
 そのあたりは八方を山に囲まれていて、なんだか外界と隔絶された雰囲気なのだ。盆地になってて風がないせいか標高が低いせいか、やけにあったかくて菜の花や沈丁花が咲き乱れてる。なんだか高度経済成長以前って感じの家並みだし、時の流れ方が違ってるような場所だった。
 まあ山ったってこのあたりはそう峻険ではない丘だけれど、困ったことにその丘を越える道が見つからない。ひょいと坂を登ろうとしても人んちに続く道だったり袋小路だったりで、いつの間にやらすっかり道に迷ってたのだ。
 天気がいいおかげで方角は分かるし、どっちに進めばいいか見当もつくのだが、なにしろ道がないのだ。あっちかーと走ってても、地元のご老人からそっちは行き止まりぢゃと声をかけられちまうし、時が止まったような場所でぐるぐるさまよってるとこのまま一生外に出られないんじゃないかって気がしてくる。
 このまま出て行かずに住み着いちゃったりしたら『オカメインコに雨坊主』の世界だなーと思って走ってたが、やがて見るからに怪しいトンネルを発見。そこを通りぬけるってえと集落を出て外界に通じる道に戻ることができた。オカメインコに雨坊主
 そこからさらに一山越えると鉄道の高架線路が見えた。それでだいたいの位置関係は把握できたが、この線路を走ってるのが蒸気機関車だったらどうしようなどと考える。まあやってきたのは特急列車だったけど。

 そこからさらに坂を越え、田畑の間を走ることしばし。
 本当の意味で安心できたのは、海のある方向に見慣れたジャスコの建物が見えたときだった。こんな辺鄙なとこにもどどーんとそびえる建物を築いたジャスコに感謝。回転寿司屋で遅めの昼食にありついたが、いやあ文明っていいねえ。