オルセー行列の50分とビアパブ読書の50分

キルケニーのある店、他にないかな

 朝の天気予報で昼間はあったかくなるって言ってるので、そんじゃあオルセー美術館展に行こうと思い立つ。朝の散歩の後ですぐに出かけ、電車で上野の都美術館へ。上野公園には9時頃ついたが、青空と朝の空気がきりっと気持ちいい。
 事前に見に行った人のmixi日記を調べといたのだが、開館直後に入るとすいてて見やすいってことだった。しかしロッカーに上着と荷物を入れて入場したら既に結構混んでいて、一瞬ガセネタかと焦る。それでもざっと眺めながら目当てのシニャックの絵の元まで急ぎ、真ん前に陣取ってじっくり堪能。こないだプーシキン美術館展に来た時はこんなこともしにくかったから、それに比べりゃすいてるのかな。
 シニャック作品は1枚だけだったが、僕の仕事部屋にも飾ってるお気に入りの本物である。印刷よりも点描が形作る線の要素がよく分かって構図の良さが際立つし、こういうサイズでこういう明るさの作品だったのかー実感できて嬉しい。スーラやクロスやレイセルベルヘなど、新印象派の絵に添えられた解説にはみんなシニャックが登場してるのは、学芸員の人もシニャック贔屓なのかシニャック自身が偉大なのか。
 しかーし。それなのにショップで売ってる絵葉書にシニャック作品がないのはどーゆーわけだ! スーラやクロスやレイセルベルヘはあるのにシニャックがないなんて、シニャック絵葉書コレクターとしては許しがたいぞ。紺色の生地と合ってないトートバッグにするくらいなら、絵葉書や額絵くらい作ってくれい。
 それでもトートバックを買おうか迷ったが、チャチなわりに値段も高いので断念。シニャック作品も入った一筆箋とバジールの集団肖像画を使ったノートを買って購買欲をごまかし、再び入り口まで戻ってもう1階じっくり見て回る。


 二回目に見て回った時点でも最初より混んでたが、昼近くなって出口を抜けてびっくり。入り口では入場制限がされてるではないか! やはり開館直後から入っといて正解だったらしい。
 見れば行列は都美術館のロビーフロアをぐるっと回って外にまで伸びていて、最後尾は50分待ちなんてことになっている。待ってる人達だってすいてるときを狙って平日の午前中に来たんだろうに、一体どんだけ人気あるんだオルセー展。
 僕はそのまま上野駅を通り抜け、入谷口改札の前にあるアイリッシュパブでランチビール。最近キルケニーっていうアイリッシュアンバーエールが気に入ってるのだ。
 オースターを読みながらアイリッシュサラダのランチとパイント2杯を楽しみ、食後のコーヒーを飲み干して席を立ったら入店からちょうど50分。あの行列の最後尾の人は今頃ようやく中に入れたのかなーと思うと、ずいぶんと得した気分になった。──事前情報をくださった皆さんに、この場を借りて感謝いたします。