暖炉と温泉

ジャガ

 3月29日の日記だけど、これを書いてんのは4月も2日である。3月下旬はなんだかばたばたしてて、気がついたら日記もずーっとつけてなかった。
 ばたばたしてたのは、もうすぐ移住予定の山荘に旅行に行ったり、その前に引っ越し作業も進めたり同行者や合流者の日程を調整したりしてたからである。友人知己の間では秘密基地と呼ばれているほど辺鄙な場所にあるのだが、高原で温泉付きで暖炉付きって話をすると来たがる人が結構いるのが面白い。もしかすっと世田谷に住んでた頃より来客が多くなるかもなあ。
 仕事はすっかりオフモードなのだが、帰宅してみたらこういう時にかぎって出版社からのメールが結構きている。中には先週中に片付けなきゃいかん案件もあったようだが、まあ構うことはない。僕は締め切りは守る方だが、期日に関して不誠実な相手にこっちだけ誠実に対応したって腹が立つだけなのだ。


 旅行の方はとても充実してて楽しかったが、時間に縛られてない分だけどの出来事がいつ起きたのかって感覚がどーも曖昧である。記憶を整理しがてら4日分を書き綴ってみよう。


1日目
 すっかり春って感じのいい天気の中、朝からドライブ。峠道を登ったり下ったりを繰り返して山荘入り。荷物を運び込んだり管理スタッフに水道の開栓手順を教わったり。
 この秘密基地は古い建物のため、冬季の凍結防止装置などがなーんにもついておらず、冬の間は家じゅうの配管から水を抜いておかなきゃいけないらしい。だから入荘時にはまず水を通すところから始まるのだが、水道管に水が通っていくコーッって音や中の空気が出てくるゴボッって音を聞いてると建物を蘇生させてるような錯覚を覚える。
 家に入って雨戸を開けたら、荷物をかたづけるのもそこそこに暖炉に向かう。高原とはいえ結構あったかいし、石油ファンヒーターを持参したので暖房の必要はないのだが、単に焚き火がしたいのだ。夕食はホイル焼きにしようと思って来る途中のスーパーで食材を買い込んできたし、家からは中華鍋セットについてた油切り用の穴あきフライパンを持ってきたしね。
 んがしかし、火はどうにか起こせるものの焚き火としての寿命が短い。細い枝は燃えやすい分だけ早く燃え尽きちゃうし、太い薪はなかなか火がつかないし。まだまだ修業が足らんようだ。
 そのうちホイル焼きは無理そうだと諦め、持参したオーブントースターでの料理に切り替える。暖炉じゃなくて温泉であったまることになったのだが、こっちは修業などいらんのがいいところだよな。