ゲラとカメラとシジュウカラ

珍しくない鳥でも撮影できたのが嬉しい

 このところ『風に桜の舞う道で』の著者校正作業にはげんでいる。今日も朝から仕事部屋にインスタントコーヒーとデジカメを持ち込み、机の前の窓をいっぱいに開いて仕事開始。西に向いた窓からは涼しいそよ風が入ってきて、BGMは村松健の『緑の想い』。とてもとてもいい気分である。
 『風に桜の舞う道で』は僕が実際に予備校の寮で暮らした経験を元に書いた物語だが、その寮の部屋も西側に窓があった(つうか西にガラス戸があるだけ)。そういえば村松健のピアノにはまったのも、その部屋で聞いてたFM放送がきっかけなんだよな。
 受験生だったあの頃は、こうして作家になって高原の森を眺めながら予備校の寮の物語に取り組むことになろーなどとは考えもしなかった。ましてその仕事中のBGMが村松健なんて、なんとも出来すぎてるよなー。


 ゲラを読み進めて校正チェックを確認したり加筆作業を行ったりしつつ、窓の外に鳥の気配がしたらデジカメを構える。
 どーも野鳥の写真を撮るのは難しく、これまではファインダーにおさめようとしてる間に飛んでっちゃったりズームアップしたらピントがボケたりしちゃってたので、今日は発想を転換して高画質で撮影。その分データが重くなって撮影可能枚数が減るのだが、とりあえず広い範囲を撮っちゃってからパソコンでトリミングをすることにしたのだ。あっちにいるぞって方向にカメラを向け、何が写ってるかは気にせずにとにかくシャッターボタンを押してみた。
 で、午後になってチチチッて声に反応してカメラを構え、よーやく撮れたのがシジュウカラ。これまで声を聞いたり目にしたりが一番多かった鳥だが、ようやく撮影成功である。まあこれでもピン甘だけどね。
 プレビュー画面を眺めて嬉しがりつつ、ゲラに目を戻すってえと、そのとき読んでた『風に桜の舞う道で』の場面は向坂さくらとの出会いのシーンだった。ちょうどカメラにまつわる場面なわけで、これもまた出来すぎてるというか何というか。