渓流の川原と僻地の校舎

見事な犬かきでレトリーブしました

 ふと気づいたのだが、引っ越し以来しばらく車にくろべーを乗せて出かけていなかった。そんじゃあ川でもいくかってことで、昼に買い物に行くときにくろべーも同伴させてやった。
 うちから一番ちかいスーパーに行くまでにはいかにも山間の渓流っていう気持ちのいい橋があり、その手前で曲がれば川原にも車を乗り入れられる。休日ともなると釣り客も多いが、ちょいと歩けばくろべーを放せるポイントもあるので、水遊び。
 風呂の嫌いなくろべーも川に来るとレトリバーの血が騒ぐのか、特に指示しなくてもジャブジャブと水に入っていく。テニスボールでも投げてやれば夢中で川の中に突っ込み、ぷかぷか浮いてるボールを的確にキャッチして戻ってきた。
 川の流れの速いところもあるのでちょっと心配だったけど、ちゃんとそっちには近寄らないようにしていたし達者な犬かきで泳ぎも得意そうである。人間なんかよりそういう感覚には優れてるのかもね。
 前の家では水遊びっつっても海で遊ぶことが多かったせいで、大波にざぱーんと飲まれては脱出ってパターンだった。ひょいひょいと器用に泳いでるくろべーの姿ってのも、なかなか楽しそうですな。
 つうわけで、この川原でのくろべー散歩も恒例にしようかと思います。イワナやヤマメやアユなんかが釣れる川らしいんで、得意な方は竿持って遊びにきてね。釣り素人のおいらに渓流釣りを御指南くだされ。


 川を後にしてスーパーに向かう……途中で、前から気になってた廃校に立ち寄った。昔ながらの平屋の校舎がなんとも味がある上、校庭がすごく広い場所なので、ここもくろべーと来てみたかったのだ。
 どうやらこの校舎、元はといえば明治の頃に建てられた小学校だったようだが、その後で保育園に変わり、さらにそこも閉鎖されて今にいたるらしい。放り出されたままの教室の入り口は時代劇にでも出てきそうな木戸だったり、アンティークショップだったらえらい値段のついてそうな足踏みオルガンが置いてあったり、なかなか魅力的な建物である。くろべーも大はしゃぎで校庭を走り回れたし。
 門の脇には二ノ宮金次郎像があるのもいかにも。建物の入り口にあるポストを見たら「○×へき地保育所」なんて書いてあった。──我が家から山を下り川を越え、よーやく人里に来たかなあって場所なんだけど、それでも僻地なのねえ。