カフェとシュバル

5月17日の画像と比べてみてね

 午前中から買い物へ。平地の町までは下りず、中腹くらいにあるスーパーで買い出ししてから某人気カフェへ。休日や行楽シーズンともなると満員や順番待ちが当たり前の店だが、平日午前とあってほぼ貸し切り状態で寛ぐ。──それでも昼頃には結構混みあってたんだから人気ってのはすごいなあ。
 そこでブランチなどいただきつつ、店内の本棚で見つけたアート写真集を眺めていた。ニキ・ド・サンファルってアーティストの作品集で、彼女の人生とともに変わっていく作風が興味深かったのだが、その中でシュヴァルっていう郵便配達夫のことが触れられてたのには驚いた。
 この郵便屋さんは毎日の配達の仕事の帰りに石を拾って帰宅し、自分ちの近くに一つ一つ積み上げていったあげくにオリジナルの宮殿を建造してしまったっていう凄い人である。僕は以前彼の理想宮たるファクトゥール・シュバルの映像をテレビで見たことがあって覚えてたのだが、ニキも彼の宮殿に衝撃を受けて影響を受けてたんだそうな。本職のアーティストをインスパイアする郵便屋さんってのもすごいね。
 そして実をいうと僕はシュヴァルって名前は覚えてなかったのだが、つい最近になって彼のことを調べてみようと思っていた。──理由は我が家のガーデニングというか庭の中の道造りで、僕もこのところ毎日、くろべー散歩の帰りに手頃な石を拾ってたのである。ああこういう日課はあの郵便屋さんみたいだなと思って彼について調べてみようと思ってたのだが、まさかこのカフェで、しかも別の人の作品集で彼の名前に出会えるとは。
 誰もが呆れ返るほどの迫力のファクトゥール・シュバルに比べるといささか小規模だけど、我が家の新道建設も着々と進んでいる。まだ地面の土を均したり道の両サイドに縁石を置いたりって段階だけど、いつもの散歩コースを歩くだけで溶岩質の石は事欠かないので、毎日ちょっとずつ道が整備されつつあるのだ。──今日から梅雨入りだそうだし、雨降って地面が固まるようならまた一歩完成に近づくかな。
 そんなわけで、これまではうちに来るって人から「お土産は何がいい?」と聞かれると「ビールや米や缶詰」と味も素っ気もない返事をしていた僕ですが、今後は「玉砂利」とさらに味気ない回答をしようと思ってます。まあ梅雨の間は来客も少なそうですが……