ホースメンのCDとデンデケの再読

“「ロック狂いの馬男」と富士男”

 芦原すなおさんから、ロッキング・ホースメンのCDをいただいた。
青春デンデケデケデケ』で直木賞を取ったの芦原さんが、作中に出てくるのと同じ名前のバンドを結成したのが1991年。17年目にして念願の初CDとのことだが、作中の時代からすれば実に40年である。すごいなあ。
 こないだいただいたメールで今日あたり届くと分かってたので、夕方のくろべー散歩で管理事務所まで下りていき、封筒を受け取っていそいそと帰宅した。行きはいいけど帰りは汗かくので、風呂で汗を流しつつ聴くことに。風呂場の戸の外にラジカセを置いてエンドレスで再生しつつ、温泉入りつつ聴いて湯上りにビール飲みつつ聴いて、すっかりいい気分である。
 なにしろ一曲目の「こんかい」って曲からして讃岐弁全開のロックで『デンデケ』の世界を堪能できるし(高校生だった主人公たちがもうちょっと大人になった頃の歌かな)、「豊浜ブギ」や「観音寺ウーマン」って曲は現地を知って聴くと実に趣き深い。音楽性については素人の僕だけど、イントロのフレーズがベンチャーズビートルズを連想させたりするし、60’sロックにJ−POPならぬ日本歌謡曲の雰囲気を溶かし込んだ雰囲気だろうか。「Maria」って曲のようにどこかメロウな味わいも加わり、聴いてて飽きないアルバムである。和風ブルースたる演歌のテイストも漂う「総武線ブルース」ときて、「ジョニー・B・グッド」のようにノリのいいバンドのテーマ曲「The Rocking Horsemen」でしめるあたりは長編小説の構成みたいに計算してあるのかなって気もしてしまう。
 CDジャケットはメンバーの写真と愛称のチェッカー模様でCD自体のプリントはロックをする馬男のイラスト、同封されてるのは全曲芦原すなお作詞の歌詞カード。芦原すなお論における世界的権威を自負するおいらとしては、この歌詞も実に味わい深い。全体にノリのいい曲調のわりにかなわぬ恋を歌ってるような詞が多い気がするんだけど、これは音楽性ってより作家性なのかなあ。映画版『デンデケ』の、祭りの喧騒と実らぬ恋を描いた岡下巧のシーンを思い出しますなあ。
 そんなわけで、今夜は酒飲んで酔っ払ったら『デンデケ』を再読して寝ようと思います。いい夢見られるかな?