ドングリとフクロウ
車で山道を走ってる最中、カーブを曲がるたびにダッシュボードの上でカラカラと音がするのに気づいた。
なんだろなと地図やら何やらをどかしてみたところ、何故かドングリが20個。僕は置いた覚えがないし最近誰かを乗せたこともないんだけど、一体どうしてここに? 誰かのいたずらなのか、窓を空けてるときに木から落ちてきたのか、何なんだろう。創元推理文庫に『50円玉20枚の謎』ってのがあったけど、どなたか『どんぐり20個の謎』の謎解きをしてください……
車で出かけたのは、ちょっと離れたとこにある某観光施設。こないだ我が家に飛び込んできたフクロウの三太くんを保護してくれたところである。
こないだ来てくれた親切なスタッフは今日はお休みってことだったが、別のスタッフもとても親切で、事情を話したら関係者以外立ち入り禁止のゾーンに案内してくれた。その中の立派なケージで養生中の三太くんと再会……ってえことはやっぱり、先週末のやつは三太くんとは別フクロウだったんだねえ。
保護されたときは衰弱気味だったという三太くんも無事に健康を取り戻しつつあるようで、体重はちょっとずつ増えてるとか。年齢と体格に鑑みて、飛ぶのに適した体型になったら放鳥するんだそうな。 現在660グラムだそうだけど、思ったより軽いんだね。空飛ぶために、翼は大きく体重は軽くできてるんだろうなあ。
三太くんの無事を確認した後は、普通に観光。フクロウについての展示もじっくり読んだところ、フクロウには自分で巣を作る習慣がないそうで、主に巣にするのは「木の洞・廃屋・納屋・橋の下・他の鳥の巣」なんだとか。こんなかで我が家が一番近いのは「廃屋」かもしれんよなあ。
動物園的にいろんな動物を見て回るだけじゃなく、触れ合えるところも多いし、バードショーや牧羊犬ショーやアジリティーショーなんかもあって、すっかりこの施設が好きになった。スタッフも皆さん親切だし、是非また来ようと思う。
バードショーの最期に、スタッフの方が“鷹匠の技を応用したショーを通じて野鳥の保護や環境の保存を訴えていきたい”と言ってたことが印象的だった。実際に我が家まで来てくれた上にこうして3週間以上もフクロウ三太くんの面倒をみてくれてるわけで、実行をともなってる言葉にはなんとも重みがあったのだ。
帰宅後、くろべーがやけに甘え鳴きをして寄ってくることに気づいた。
分かった分かったと散歩に行ったり夕食をあげたりしたのだけれど、その後も僕の横にちょこんと座ってクンクン鳴いている。なんだろなと様子を見ていたら、ひょいと僕の膝に抱きついて腰を振り始めた!
もともとこのマウンティング癖のある犬なのだが、よその人にはしても普段は僕にはしかけてこない。すると叱られると分かってるからなのだが、どーやら今日は辛抱たまらなくなったらしい。いろんな犬と遊んできたし、中にはメス犬もいただろうからなあ。
ふと思いつき、ジーンズを脱いでくろべーの目の前にぶら下げてみた。──熱心にそのにおいをかぎ、ジーンズに抱きついて腰を振るくろべー。やっぱりいつもと違うんだねえ。
変な奴じゃと思う僕だったが、ズボン脱いだ格好でそれを観察してるタケウチってのも傍から見たらかなり変な奴だよな。