アイスバーンとショルダーベーコン

 朝の散歩に行こうと玄関を出たら、足元がつるっと滑った。
 明け方の冷え込みで昨夜の雨の水分が凍っていたらしい。転びはしなかったが、くろべーもちょっと歩きづらそうな顔をしている。すっかり冬の冷え込みだねーと思って道に出ると、こないだ登った山の頂上あたりが雪化粧してる。初霜に冠雪、これを冬将軍の足音と言わずして何と言おう。


 なにしろ寒いので暖炉はほとんどフル稼働。そこで今日は、暖炉を使ってベーコン作りにチャレンジしてみた。
 以前から、暖炉で塩鮭を焼くとスモークサーモン風味になったり肉を焼くと燻製風味になったりすると思ってたので、ここらでいっちょ本格的にやってみようと思ったのだ。春と夏に薪割りに励んだおかげで冬場に使う薪も足りそうだから、山桜の薪を盛大に使うことにした。
 冷蔵庫に豚バラ肉はないが、肩ロース肉のかたまりがある。ショルダーベーコンってのがあるくらいだからこれでいいってことにして、適当な大きさに切ってたっぷりと塩コショウ。それを100円ショップで買った両面魚焼き器に挟み、山桜の薪が燃えてる暖炉に吊るす。──日頃はなるべく煙が出ないように燃やすのだが、今日ばかりはきれいに炎が上がってるとこをつついて邪魔してわざと煙を上げさせたりなんかして。
 昼前に吊るし、午後の仕事の間に煙で燻すこと数時間。夕方の晩酌時にはきれいにベーコンっぽくできあがった。こうして調理すると肉の赤色が残ったまま火が通り、きれいなピンク色になるんだねえ。これまでベーコンってのはそういう色だと思い込んでいたけれど、自分で作ってみるとあらためて感心してしまう。
 そして味は……もちろん最高だぜい! 簡単にやったわりにちゃんとベーコンの味になるんだねえ。つうか市販のベーコンの味ってのはこういう要素で構成されていたんだなあ。
 外はこんがり香ばしくて中はジューシーっていう理想の仕上がり。ビールのつまみに最高で、そのまま食べても美味いしアメリカ風にケチャップとマスタードをつけてもよく合う。芥子醤油をまぶして炊きたてごはんにのっけて食べても最高って感じで、結構な量をぺろりと食べてしまった。
 しかし元々は保存のために燻製肉にするんだから、とっとくようにすべきだよなあ。パンやパスタにも合いそうだからいろいろ試してみたいし、今度はもっと大量に肉を仕入れてしばらくもたせてみようかな。