アメダスとプリズム

最近の工作

 雪である。19日から20日にかけても降り、路面につもった雪は昨日ようや解けたって

のに、また積もってしまった。昨日はいい天気だったし、今日も天気予報では晴れてる

ことになってるのだが……
 冷え込んだなーと思いつつ起き出し、フジテレビのデータ放送で雨の様子ってのを表

示してみたが、雨雲なんか関東一円ほとんどないではないか。なのにしっかり10センチ

くらい雪が積もってるってんだから困ったもんだ。
 風も強いせいか、メールチェックをしようと思ってネットに繋いでも回線がぶちぶち切れ

る。何なんだと思って信号を聞いてみると、NTTの電線が風で揺れるたびにノイズがの

るってるようである。そういや昨晩ご近所さんと喋ったときにも妙に電話音声が乱れて

たんだよな。またどっかで断線しかかってんだろうか。
 ともあれ、くろべーの朝散歩には行かねばならない。そして朝から元気な黒犬は、冷

え込んでようが雪が積もってようが気にしない。むしろいつもより興奮して雪をぱくぱく食

べながら雪を蹴立てて走っていく。
 僕は風に舞う雪に首をすくめつつその足跡を辿る。──たしかに空には結構晴れ間

もあって雲間から朝日もさしてるのだが、強い風がどっかから雪を運んでくるのだ。地面

の粉雪が舞い上がってるとほとんど地吹雪。
 まあそれはそれで珍しい光景だし、白い冬木立の景色は美しい。観光気分で景観を

楽しみながら歩いてたのだが、ふっと違和感にとらわれて立ち止まった。風によってあ

たりの色が変わったような気がしたのである。
 しばしあたりを見回してようやく分かった。──朝日は山の尾根越しに差してくるんだ

けど、風のせいで時々それを雲が隠すのだ。雲と尾根によってプリズム効果が生まれ、

赤っぽい光だけがさしくるらしい。その赤さが僕の周りに積もった白い雪に増幅され、

世界がぼうっと赤く染まったように感じられるらしい。
 演劇などで舞台を赤くする照明効果があるけれど、あれを淡く広げたように世界全体

が色を変えるってのは不思議な経験だった。風の強い雪の朝だけの現象なんだろうし

、なんか呼び名がついてそうだよな。調べてみよう。