越冬の準備と歓喜の疾走

プリンタの都合で賀状も準備

 下山前の荷物整理の日。──寒さが厳しくなってきたので、明日にでも山荘から下山することにしたのだ。
 越冬地に移るとしばらくネットに繋がらないようなので、メールの返信が滞るかも。お急ぎの方はケータイの方にご連絡ください。番号は去年と一緒なので……といいつつ、プリペイドなので今は休眠してます。カード買って復活させないといかんのだけど、近所にauショップがないので下山してから探さんとなあ。


 つうわけで、今日は越冬地にもってく荷物をまとめたり家ん中を片付けたり洗濯したりして過ごしてるんですが……いやあ捗らないことはかどらないこと。我ながら片付けごとの才能はまるでないし、日頃からだらしなく生きてることのツケがこういう時に回ってくるんだよな。
 おまけに今日は天気がいい。寒いから下山するのにこの天気じゃもったいないような気がしてくるほどだ。車に自転車を積み込もうと思って外に出たらふっと乗りたくなり、くろべーも連れ出して家の周りでサイクリング。
 幸い雪もすっかり解けてるし、ただでさえ辺鄙な別荘地なので寒いこの時期の平日なんて周囲にはまったく人がいない。くろべーにはリードどころか首輪もつけず、僕の自転車の周りを好きに走り回らせておける。そうやって自由かつ一緒に走るサイクリングってのは最高で、それだけでも田舎暮らしの価値があると思う。
 荷引き犬だったというバーニーズマウンテンドッグの血統のせいか、くろべーには不思議なほど強烈な「自分が集団のトップを走りたい願望」がある。僕が少しでも前に出ると意地でも抜き返そうとするのだ。そうやって僕を抜いたくろべーがタイヤの前に出でくると危ないけれど、うまいことそれを避けてダッシュをかけて抜き去る駆け引きはなかなかスリリングで面白い。くろべーは興奮してワンワン吠えながら追ってくるが、トップギアを思い切り回せば僕のスピードが上なのだ。
 きりりと爽やかな空気の中で森の中の舗装路を走るのはそれだけで気持ちいいし、くろべーも歓喜の表情で全力疾走している。大好きな自転車と大好きな犬と共に、子供みたいな遊びを満喫するっていう瞬間はとてもとても幸せで、何故だか不意に涙が出そうになる。──こういう遊びも今日かぎりかと思うと寂しいけれど、次の春の楽しみと思っておこうかな。