二重橋レインボーと人工芝ステップス

何て名前の鳥だろう?

 朝の散歩に出かける時はいい天気だと思ってたんだけど、近所リゾートマンションまで歩く間にぽつぽつ雨が降ってきた。これだから山の天気はあなどれないなーと思ってたのだが、ふと山の方を見てびっくり。実に鮮やかな虹が架かっているではないか!
 山と山の間に虹があるだけでも圧巻だけど、よく見ると虹のアーチは2本あった。実になんともダイナミックな光景をで、雨に濡れるのも構わず鑑賞と撮影に没頭してしまった。虹の橋のたもとをこの目でたしかめたのも初めての経験だったし、“副虹は主虹と色が逆並び”っていう雑学知識も本当だったと確かめられた。なにより虹の七色の美しさには吸い込まれるようで、朝からいいもん見られたなーと嬉しい限り。アボリジナルアートのレインボーサーパントをも出だしつつ、こういう日にはいいことありそうな気がする。


 案の定、朝飯終えて木彫りしてたら電話が鳴った。かけてきたのは先日くろべーを見てもらった動物病院の先生で、僕の書いた『ワンダードッグ』を読み終えて電話くれたのだった。楽しんで読んでくれた上に次は奥さんも読み始めてるそうで嬉しいかぎり。
 場所がら犬連れでうかがったせいか僕が山に住んでるせいか、これは実話なのかと尋ねられたのは面白かった。そもそも『ワンダー・ドッグ』を寄贈したのは、病院で書類に記入した僕の住所を見た先生が「仕事は何してんの?!」と尋ねてきたからなのだが(あまりに辺鄙なとこなので地元の人から見るとまっとうな仕事につけないような土地らしい)、先生の頭の中では「犬と山暮らし」っていうイメージが強烈に残っていたらしい。どーやら実際にワンゲル出身の男が犬を通じて知り合った女性と結婚して山に暮らして『ワンダー・ドッグ』を書いたっていう設定を想像していらしたようで、電話をくれたのはそのへんを確かめたかったってこともあるようだった。
 残念ながら壁のぼりが得意な嫁さんはいないし、そもそも独身なんで犬好きの独身女性が来院したら紹介してくださいと答えておいたが……こういう作品と作者との同一視ってのは痛し痒しなくすぐったさを感じるね。他の例だと「『粗忽拳銃』を書いたからには落語マニアなんだろう」とか(通の人から怒られるくらいの素人です)、「『自転車少年記』の作者は東京糸魚川くらい走ってるんだろう」とか(取材はしたけど走ったことはないよ)、「『ビールボーイズ』のビールコラムは竹内真の熱い主張が語られている」とか(あれも小説の一部なので僕の意見とイコールじゃないです)、たまーに、こういう僕でいいのかなって気分になることもあるほどだ。まあいけなかったとしてもこーゆー奴でいるしかないわけだけど。


 木彫を一段落させて(栗材チェス駒、よーやく32駒が彫りあがった!)写真撮影などした後、仕事部屋に移動して仕事すっかなと思ったら、仕事机の前の窓を横切る鳥の影。見れば小枝をくわえた小鳥が巣箱に入っていってて、そういう光景を見るだけで仕事への集中はぱたっと途切れる。
 一昨年だったかに設置したこお巣箱、今年はシジュウカラが営巣しねーなーと思ってたら、ウグイスみたいなルックスの鳥が入居したようだ。何度も出入りしてるし中に入ってからしばらく出てこないし、ふらっと飛んできたキビタキが中を覗き込んだら慌てて顔出して撃退してるし、見るからにこの巣箱の住人顔で暮らしているようで嬉しいかぎり。
 ただ、この鳥がなんだか分からない。ぱっと見ウグイスっぽいけど一般的なウグイスよりはちょっとスリムかつ長身のようだし、そもそもウグイスって巣箱に入るイメージないし。昼飯で近所のお店に寄って地元育ちのマスターに尋ねてみたら、「ウグイスみたいな見かけの鳥は多いし、雌鳥は大抵地味だから何の鳥かは判別しにくい」とのこと。今後オスでも来たら分かるのかなと思うけど、巣箱に入ったからといってつがいだとも限らないのかな。
 まあともかく、今後は鳥の観察を楽しみに毎日仕事部屋に通おうと思う。──これでいい習慣がついて仕事が捗るのか、それとも窓の外ばかり見てますますサボるようになるのか、さてどーなることやら。
 

 昼食後に何箇所か回って買い物やら野暮用やら。財布の中身が減ってきたので帰り道で郵便局に寄り、狭い駐車場に車を入れて、ふと隣の高級車に目を向けたら、別荘地仲間のご近所さんが乗っててびっくり。
 聞けば携帯電話が鳴ったので駐車場に車を入れて通話してたんだそーで、こういうとこでばったり会うってのもすごいもんだ。おまけに僕のためにシイタケ栽培の種菌を仕入れてくださってたそーで、帰宅したら道具から原木まで一通りの必需品を持ってきていただいて恐縮しきり。収穫までは1年半くらいかかるそーだけど、2011年には自家製のシイタケを食べることができそーです。──とれたての肉厚シイタケを鋳鉄ミニフライパンで蒸し焼きにし、塩かけて食うと酒の肴に最高なんだよねー。


 夕方のくろべー散歩を済ませた後は、ホームセンターで買ってきた人工芝のマットをカットして両面テープで階段に貼ってく作業。このこところ足腰よわって階段がしんどかったくろべーも、板張りの時のように滑ることがなくなってだいぶ楽なようでよかったよかった。
 と、なんだかいろんなことがあった一日だったが、執筆の方は一文字も進まなかったんだよなー。こまったもんだ。あっはっは。