ロングライドにノスタルジック

雨の日はチェスしてすごしたいね

 最近さぼり気味なこの日記、せめて十日に一度くらいはつけようと思うんだけど、雨で終日家ごもりの日曜日は特に書くことないなー。まあ朝夕のくろべー散歩は雨がやんでる隙をついて出かけ、傘もささずに済んだけど。
 つうことで、今回は本の話でも。


『ロングライドに出かけよう』
 著者の米津一成さんからご恵贈いただいた1冊。内容は超長距離サイクリングの話なので僕みたいなへなちょこライダーには縁のない話なのだが、一つの道を思い切りきわめまくってる人たちの実話ってのは読み進むにつれて不思議な熱気を感じて引き込まれる。
 その影響か、最近はロードレーサーを整備したり近所の観光地まで往復してヒルクライムに挑んだり、地元のささやかなサイクリングイベントに申し込んだりしている。よーやく近場でロードのパーツを買える店も見つかったし、僕の中での自転車熱がちょっと再燃するかも。
 それにしても、最近自転車の本がよく出るね。なのにおいらには自転車関連の原稿依頼がないのはどーゆーことだ、というか、もっと自転車小説を書きたいのに書かせてもらえないのはどーゆーことだ! ……などと憤ってみるけれど、「書き手として知名度がないからだ」とか「担当編集者の頭が硬いからだ」とか、すぐに気の滅入る答えが浮かんでくるのが困ったもんだ。


『東京ノスタルジック喫茶店
 こちらは、去年秋に訪れた押上のスパイスカフェのギャラリースペースで写真展をやっていた、塩沢槙さんの新刊。2008年冬に発売と告知されてたわりに出ないなーと思ってたら、今年春に塩沢さんから観光案内の絵葉書が届いた。個展を見た時にアンケートに記入しといたおかげらしいが、僕はいったい何を書いたんだろう?
 タイトルの通りに様々な喫茶店を写真と文章で紹介している本で、僕も行ったことある店や知ってる店が結構出ていて懐かしい。東京を離れて結構たつ身としては、こういう形で「あの店のその後」を知ることができるのは嬉しいもんで、また東京の街角をぶらつきたくなってくる。──万定で、マスターにレジスターのことを尋ねていろいろ説明してもらったのが懐かしいなあ。
 文章の焦点というか、時制や視点が時々よれるのが引っかかるけれど、様々な写真と一緒になるとそれも味かなあという気がしてくる。読んでいると時代の重みみたいのが伝わってきて、いつか書こうと思ってる小説の着想も膨らんだ気がする。──カレー小説やビール小説のつながりで、コーヒーと喫茶店についての話を書こうかと思ってるんだよね。
 それにしても、この本も前述の米津さんの本も、僕にとっては不思議な縁で読むことになって、版元は河出書房新社ってのが面白いなと思う。河出っていうとJ文学ってイメージがあるんだけど、最近はノンフィクションに熱心なんだろうか。『笑うカドには』の著者としては、何か仕事くださいと営業かけたくなるね。千駄ヶ谷の喫茶店に行く機会があったら河出の社屋も探してみようかな。(つまみ出されたりして)


1Q84
 これは読んでない。つうか買えてない。
 29日の金曜日が発売だと小耳に挟み、買い出しで下山するついでに探してみたんだけど……田舎暮らしで何が困るといって、まともな本屋がないってのが一番の悩みなのだ。
 なにしろ1軒目では未入荷、2軒目では28日木曜日に入荷したけどあっという間に売り切れちゃったとのことで、3軒目にいたっては店ごと消えていた。これはやはり本が売れずに潰れたってことかなーと思いつつ、文化的辺境性を物語る三段落ちにはさすがに笑ったというか嫌になったというか。この際だから、もう自力で探すのは諦めて誰かがおいらの手元に回してくれるのを期待しようかと思っている。
 幸か不幸か、新聞や雑誌もろくに読まないおかげで、今回のハルキ作品がどういう内容なのかはまるで知らない。『海辺のカフカ』は発売直後に読んだし、『アフターダーク』は業界の裏技で発売前に読んだので、このままな〜んの前知識も持たずに過ごして読む機会が訪れるのを待つっていう味わい方を試してみるのも一興かなと。