連載開始と新作木彫

期せずして縮尺がほぼ一緒

 やたらと寒い今日この頃、根付をテーマにした連載小説、『ゲット・ルーツ』の第二回原稿を書いている。時には仕事部屋でワープロ向かってても指がかじかむほどなんで、今日から二階にも灯油ファンヒーターを導入。おかげで今回の〆切にもどーにか間に合いそうな目途が立ってきた。
 昨晩「小説推理」編集部から電話があって口頭で第一回の校正の最終確認を行ったのだが、掲載誌の発売は来週金曜。月刊誌とはいえ、タイトなスケジュールだよなあと思う。いやタイトなのは僕じゃなくて編集部なんだけどね。
 そのご苦労の甲斐あって、おいらの小説には挿絵のかわりに根付の写真が掲載される。その筋の世界的権威である提物屋さんの全面協力のもと、毎回違った根付の写真を2枚掲載してもらえるのだ。作中に出てくる根付の単純な図解などではなく、小説からイメージ喚起された根付作品が選ばれるのだそうで、僕としてもすごく楽しみ。


 仕事部屋を離れると、最近はくろべー根付の磨き作業とくろべー箸置きの彫り作業をやっている。どちらもそろそろ仕上げ段階ってとこまで進んだので、週末にもうちょっと黒犬らしくなることだろう。
 くろべー箸置きは以前作った時にはシルエットだけで目は彫らずにいたもんだが、根付で鍛えた方法で今回は顔の表情もしっかり作ってみた。──箸置きを作ったのは2007年だったかと思うが、当時に比べて技術が上がってるってのを実感できるのはいいものだ。
 かつて4個セットの箸置きを作った時にはベストを尽くした気がしたし、mixiのトップ画にしてるチェスセットでくろべー駒を作った時にも自分の最高峰だと思ったもんだが、今の目で見ると粗さが目立つ。椿材でくろべー根付の「ナイトピース」を作った時にも最高傑作のつもりだったけど、桜材で左右対称バージョンを作ってみたら立体造形をもっとつきつめることができたし、やればやるほど向上できる気がする。
 我流の方法と安物の道具、余暇の趣味としてちまちまやってる状態でそうなんだから、いっぺん本格的に取り組んでみたらどんなことになるんだろうなーと思う。まあ月刊連載始めたばかりでそんな余裕はないけれど、童心にかえったつもりで「大きくなったら木彫り職人になりたいなー」などと思ってる今日この頃である。いやこれ以上大きくなってどうするって問題はさておき。