劇場版カレーライフと暖炉製バラベーコン

雪の壁を突き崩したところ

 昨日、『カレーライフ』が書きあがった。
 ……なんてことを言うと10年くらい前のことだったかなーと思っちゃうけど、小説ではなく劇場版の『カレーライフ』なのだ。ひょんなことから書いてみることになり、何日かかけてプロットとシナリオの中間みたいなものを書きあげた。これ自体を文章として発表するわけじゃないけど、これはこれで書き上げた充実感ってあるもので、結構嬉しい。
 それにしても、通常の長編小説の3〜4本分の長さがある『カレーライフ』が、通常の短編小説になったんだから我ながら驚きである。まあ一人称小説と舞台原案という形式の違いがでかいってのもあるけど、それにしても我ながら、やりゃあできるんだなーと思う。執筆から10年くらい過ぎてデティールを忘れかけてるのがよかったのかなあ。


 何はともあれ、10年ぶりの『カレーライフ』脱稿記念ということで、今日は一日遊ぶことに。おりしも大寒のくせに春の陽気ってことで、この冬のご近所さんと雪山に繰り出した。
 まあ雪山っつっても目指す先は我が家。暖炉料理に興味を持ってるご一家を雪に埋もれたおんぼろ山荘にご案内したのである。おにぎりと麦茶持参で遠足気分、雪をかき分けスキー場気分、久々の我が家で帰省気分ってなもんであった。
 なにしろ道路から我が家への小道に入る時点で、既に1メートルほどの高さの雪が邪魔をしている。除雪車が吹っ飛ばした雪が道路の両脇に壁を作ってるのだ。それを持参のスコップで突き崩し、雪の坂道をおっかなびっくりかき分けながら進む一同。こういう体験もなかなかできるもんじゃないよなあ。
 最後に玄関前に吹きだまった雪をどかして扉が開くようにして、ようやく家に入れる。こないだ来た時は建物ごとしんしんと冷え切ってたってのに、雪かきで体動かした後はしばらく暖房もいらないような室温でびっくり。天気ひとつでこうも違うかー。
 暖炉料理はほとんどお客さんたちにおまかせ。桜在の柴や薪を持参してきたこともあり、すぐに焚火もうまくいって、鮭カマやら鶏手羽元やら豚バラ肉やらをスモーク料理。どれもとびきり美味しくできたし、何よりお客さんたちが一口食べてばっと顔を輝かせるのはいいものだ。こういう感覚が『カレーライフ』の原点であり目指すところであるよなーと、しみじみ思う。
 『ビールボーイズ』の作者としては、これでビールがあれば言うことないなーと思わずにおれないが、今日は我慢。客人がたは飲めないご家族なのだ。まあおにぎりと麦茶やジャズミン茶があれば自宅で楽しくピクニック気分だよなと、あれこれ食べて楽しい午後であった。