冬の訪れと時の流れ

定休日だった店にもまた行く予定

 昨日山荘の水抜きをして下山、越冬地へと移住した。
 新居で迎える初めての朝、くろべー散歩は近所のドッグラン。それから部屋の片づけにとりかかり、シャワー浴びてさっぱりしたとこで大家さんに自転車を借りて出かける。サイクリングもずいぶんと久しぶりな気がするが、もっと久しぶりな町に遊びにいくのだ。
 この冬の隠れ家から、20〜30分ほど走るとかつて住んでいた町なのだ。どうせ外で昼飯食うなら懐かしいお店に久々に行ってみようと思ったのだが……いざ着いてみて笑ってしまった。本日定休日でやんの。
 かつて近所に住んでた頃は定休日も営業時間もしっかり把握してたもんだが、長く遠く離れているとそういう感覚ってすっぱり消えてるもんなんだなー。我ながら迂闊だったが、それもまた久々感を高めてくれて、持参のデジカメで定休日の表示を撮影していくことにした。……すっかり色あせたこの表示プレートって、もしや僕が常連だった頃から使ってたもんかなあ。


 代わりに、そこから徒歩数分のとこにあるラーメン屋に寄ってみることにした。その店のご主人とは特に親しく話すことはなかったけど、開店当時から時折訪れていたのだ。
 幸いそっちは営業中だった。自転車をとめてたら換気扇からラーメンスープのにおいが漂ってきて、そーそーここは魚系のダシの香りがいいんだよなーと思い出す。やっぱり嗅覚ってのは記憶と結びついてる感覚だよなあ。
 僕と年齢も近そうなご主人はちょっと白髪が増えてたが、客の入りのいいカウンターと一人で向き合ってきびきび働いている。注文した品を食べてみたら昔より味がよくなってるようだ。なによりとろりとやわらかくボリュームたっぷりなチャーシューがいい。
 こういうのはうれしいなーと思いつつ食べるが、自分でもびっくりするほど汗が出た。サイクリングの後だからかもしれんけど、体が寒冷地に慣れてるせいであったかい低地であったかいものを食べると過剰に反応するのだろーか?
 会計時、ご主人に「久々に来たけどうまかった」ってなことを話したら、「チャーシューをちょっと変えたんです」だそうで、そうでしょーそうでしょーと思う。僕のことは覚えてないようで恐縮がっていたけれど、特に自己紹介も個人的な話もしないただの客だったんだから覚えてなくて当然だろうと思う。仮に覚えてたとしても、僕の外見がかわりすぎてて別人に見えてたりしてね。
 ちなみに、この店の提灯は大分年季が入ってボロボロだったが、これはおそらくここに店を開いた時から使ってたものだろう。色あせ定休日プレートとぼろぼろ提灯のおかげで、ふっと時の流れを感じてしまった。