言葉あそびのアートギャラリーと語呂あわせのクリーンヒット

そーいやタイトルを確認するの忘れた

 すげー久しぶりに下北沢に遊びに行った。東京を離れて千葉に越したのはたしか2003年2月、引っ越し前日の夜にも下北沢にいった覚えがあるから、おそらく8年ぶりである。
 街の雰囲気は変わってないなーと思う反面、街が膨張したような気がした。前はこのへんから住宅街じゃなかったっけって場所も商業施設化してるし、人の流れも結構ある。あと昔に比べて怪しい人が減ってお洒落な若い子が増えたような気がするのは……晴れた日曜の午後ってせいもあるかな。
 待ち合わせより早めについてしばらく散歩したんだけど、地図など見なくても大概の道順は覚えてるものである。西口から歩きだしてチチカカがまだやってるのを確認したり(ヴィレッジヴァンガード資本になっても店名は残ったのねん)、サカゼンの大きいサイズコーナーで買い物したり(相変わらずとんでもない安値でワゴンセールやってるのねん)、小田急開かずの踏切で待たされたり(ここらは高架化も地下化もされてないのねん)しながら歩くのが結構楽しい。アンティーク屋を冷やかして何も買わなかったり、タウンホールでトイレ借りたりってのも昔ながらだなあ。
 昔とちがうのは、お出かけ前にネット検索してアートギャラリーでなんか面白い企画やってないか調べてといたってことだろうか。一番気になった「ことばについてん」というグループ展に入ってみたら、これがなかなか楽しかった。個人的に心ひかれたのは2つの傘に言葉の雨が降ってるって作品で、いろんな人の言葉が引用されて透明素材にプリントされ、上から吊りさげられていた。言葉が雨になって傘のまわりに降りかかってるさまが素敵だったし、いろいろ思考を刺激される感覚が気持ちよかったんだよね。
 たとえば、言葉の雨を浴びてる傘の中心には自分自身の言葉を一つ入れときゃいいのになーとか(あるいは僕が気付かなかっただけでどこかにあったのだろうか?)、周りの言葉によって二つの傘を持つ二人の関係性を暗示したり、二人の間のドラマを浮き彫りにしたりってことも可能だと思う。是非シリーズ的にいろいろ展開してほしいなあ。
 どうやら作家さんたち自身が案内係をしているようで、彼女たちに確認してからブログ用に写真を撮影させてもらった。美大生とおぼしき人たちが緊張気味の表情で会場にたたずんでる雰囲気が微笑ましいなーと思い、ふっとそっちの写真も撮りたくなったけど、怪しい人に思われやしないか心配だったので自粛しておく。


 ギャラリーの後で本題。こないだ田ノ岡三郎さんのライブで10年ぶりくらいに再会した人が、おすすめの美味しいカレー屋につれてってくれるというので久々に電車にのって下北までやってきたのである。
 向かったのは「cafe 般゜若」って店で、般若に半濁点がついて「パンニャ」と読むそうな。かの松尾貴史さんがやってるカレー屋さんなんだそうで、初めてキッチュのネタを見たのは何十年前になるんだろうとふと思う。――多分お笑いスター誕生で見たんだと思うから、かれこれ二十数年前になるのか?
 カレーはサラサラ系スパイシーだけどベースは和風って感じだろうか。辛いこたあ辛いんだけどローストタマネギの甘い風味のおかげで抵抗なく食べられるし、つけあわせのキャベツもまろやかさを演出してる。カレーの水分も麦入りごはんとちょうどよく絡み合う。全体にバランス感覚がいいというか、気配りの行きとどいたカレーって感じかな。
 カツカレーを食べたせいか、ふと紀伊国屋書店の地下にあった(今もあるのかな?)モンスナックとかいうカレースタンドを思い出した。スパイシーさもコクもカツの美味さもパンニャの方が数段上だけどね。
 店の雰囲気も明るくて女性客も多いし、店内各所に面白アイテムや絵画やチラシがあって楽しい雰囲気だし、全体としてとてもよくできたカレー屋さんだなーと思う。ただ、唯一いただけないなと思ったのが店の電話番号の語呂合わせ。店内においてあったショップカードにわざわざ印刷してあったんだけど、「さぁ、シーハー、こよいシーハー」っていう文面で8ケタの番号を覚えさせようとしてるのだ。おそらく「シーハー」ってオノマトペで満腹感や満足感をあらわし、「こよい」ってとこで今夜も来てねって含みもあるんだろうけど……語呂合わせとしては3つくらい欠点がある気がする。
 ……おそらくそんな指摘は誰も求めてないだろーけど、連れてってくれた方にはウケた上に松尾氏への提案をすすめられたので問題点を列挙して代案を示してみます。お暇な方はツイッター等でキッチュ氏に御伝言いただければ嬉しい限り。
 さて。なんで「さぁ、シーハー、こよいシーハー」ではいけないかといいますと、
1・表現が曖昧で具体的なシチュエーションがイメージしにくい。
2・「545」を「こよい」とすると「541」と間違えやすい。
3・携帯電話で8桁の番号をコールしても繋がらないので不親切。


 じゃあどうすればいいのか。カレーを食べた後に汗を拭きつつ、10桁のごろ合わせを考えてみました。
 タケウチ的正解は、「おっさん差し歯、ゴシゴシ歯磨き」――これだ。これしかない。おっさんが差し歯を力いっぱい磨いてる様を思い浮かべれば電話番号が出てくるし、かけ間違いも予防できるはず。10桁から勢いあまって8のあとに3を押しちゃう人もいるかもしれんけど、それでも電話は正しく繋がるはずだ。
 ついでに、僕が子供の頃、初めてキッチュ氏の物真似を見た時のネタは、「無名のおっさんの真似」だったような記憶があるのだ。その後まったく見かけなかったから人様の共感はえられないかもしれないが、語呂合わせ好きの僕としては久々のクリーンヒットを生んだ気分である。
 一番のミラクルヒットは今ぼくが使ってるプリペイドケータイの番号なんだけど、これはさすがに公開できないのが残念。いやほんとによくできてんだよ。すげーくだらねーんだけどさ。