万札の乱舞と山荘の読書

我が家の庭はこんな感じ

 東京の仮住まいを出て、久々に山荘の自宅へ。
 驚いたのは高速道路のできごとで、乗りこんでちょっと走った地点でのこと。何やら路面に紙屑が散らばってるなーと思ったら、茶色っぽい紙に何やら光る印刷が見えた。偽造防止用のホログラムだと気付いた瞬間、それが一万円札だと分かってびっくり。
 車列の起こす風に吹き飛ばされ、桜吹雪のように舞ってるんだから、10枚や20枚じゃないはずだ。紙幣じゃない紙もあったがそこかしこに万札らしき影があり、結構な大金が高速道路に散らばってたわけで、一体なにごとだってな光景であった。
 そんな話を人にすると、必ずといっていいほど「拾った?」と聞かれるのだが、そんな発想は出てこなかった。まず驚いた後に感じたのは危ないって感覚で、万札に気をとられて運転ミスったら怖いし、車止めて外に出て拾うなんてリスクがでかすぎる。とにかく通り過ぎた後、いったい何だったんだろうなあと想像するのが精一杯である。
 まず頭に浮かんだのは「ルパン?」ってことで、アニメの影響って大きいもんだなと思う。そのイメージからニューマン&レッドフォードのハリウッド映画に連想が広がり、銀行強盗が逃走でもしてるんだろーかと思ったが……逃走中には出口閉鎖されたらおしまいの高速なんか使わんか。現金輸送車が事故ったとか、愉快犯が近くから投げ入れたとか、あれこれ考えながら運転するってのも贅沢っちゃあ贅沢なドライブであった。
 その後で山荘入りしたので世間の情報から遠ざかり、何があったのか確かめることはできなかったが、こんなシーンからミステリー小説を書くのも面白いかなと思う。数人の競作で短編アンソロジーなんてどうでしょう?


 東京からはクロックスのサンダルで来たのだが、いざ着いてみると我が家は根雪に囲まれている。くろべーは喜んで雪の中を走ってるが、おいらは足先つめてーなーとおっかなびっくり進んで帰宅。車止めから玄関まで歩くだけで靴下びっしょり足がかじかむ状態である。
 山荘内はというと、心配してた地震の被害はそれほどでもなかった。ガラス瓶が何本か割れてたり棚から小物が落ちてたりってのはあったが、床にガラスが散乱してなかったのが幸い。床に落ちてたワープロも予備機の方だったのでとりあえず困ることはないようだ。
 とりあえずほっと一安心、軽く片づけと掃除して、久々に広い風呂で入浴読書。まず読みたくなったのは『北海道青空日記』で、次に読んだのは『海辺のカフカ』の下巻。特に理由も考えずに何となく選んだのだが、はた画伯の作品は僕が田舎暮らしをしたくなった理由の一つだし、カフカの下巻では森の奥の山荘に入るシーンを中心に読んでいた。どちらもこの山荘で読むにはぴったりで、無意識の選択ながらなるほどねーと納得。
 万札の乱舞にも、何かなるほどって思う理由があるもんなのだろうか?