越冬スナフキンと雪割テニスボール

ボロ山荘が地震で崩れず幸い

 昨日東京を完全撤収して自宅の山荘に戻った。
 地元情報で、「昨日山では雪が降った」と聞き、ほんとかよーと思ってたのだが、帰宅してみたらほんとでやんの。冬の間の根雪は消えてんのだが、明らかに新雪とおぼしきやつがうっすら積もってる。ていうか、いつの間に根雪と新雪を一瞬で見分けられるようになったんだ俺。
 到着したのが日暮れ近かったこともあり、ほとんどの荷物は車に放り込んだまま夜を明かしたので、今日は朝から荷物運び。坂道のアプローチをえっちらおっちら運んでると、庭のそこかしこにフキノトウが目につく。既に開いちゃってるのも多いが、まだ小さくてやわらかそうなのもあって、まだ食えそうだとほっとする。いつの間に野草の食い頃まで見分けられるようになったんだか。
 それでも4カ月の東京暮らしの影響ってあるもので、朝のくろべー散歩の最中、うちの周りの山ってこんなに高かったっけーと妙なことに感心する。あるいは、俺の家ってこんなに森の中だったっけーとか。春夏秋と山で暮らして冬になるとよそに移動するっていうスナフキン暮らしもかれこれ丸4年だが、今年の春みたいに新鮮な感覚を味わえるのは、ついこないだまで都会にいたおかげだろう。
 勘定してみれば、ほんの40時間くらい前、僕は出版社の地下におりて山積みの新刊本や新人賞応募原稿の隙間スペースで『自転車冒険記』のサイン本を作ってたんだし、その後は男前俳優や美人女優の稽古場を見学してたのである。「まるで別世界」って慣用句があるけれど、ほんとに別世界だよなーと思う山の朝。
 くろべー散歩ではサッカーボールで遊び、帰り道で道端に落ちてるテニスボールを発見。別荘地内にテニスコートはあるけど、そこより上まできてテニスボールを使うのは僕とくろべーだけだから、おそらく去年くろべーがぽろっと落としたもんが雪に隠れて冬を越し、雪解けの今になって出てきたんだろう。なんだか懐かしいような親しみを感じてしまった。
 再会気分でテニスボールを拾い上げ、冬眠明けのムーミンと再会するスナフキンってのはこんな気分なんだろーかとふと思う。


久々に管理事務所に寄って郵便物をまとめて受け取ったら、某県の教育委員会からの封筒が届いている。時期と雰囲気からして「入試に使わせてもらいましたよ」って内容だろーなーと、開封前から分かった。
 もしや2月発売の『自転車冒険記』を早くも使ったのかなと思ったら、またもや『自転車少年記』だった。発売して数年たってんのにまだ出るかーと思ったが、問題を見てみりゃどっかの模試だか問題集だかで扱われてたのと同じ個所である。てえことは真面目にそういう教材で勉強してた子は入試で成果が出せたかもしれない。そういうのって僕まで人の役に立てたような気がしなくもないね。
 まだ出るかーといえば、郵便物の中にはテレビ愛知からのものもあった。こっちは『自転車少年記』のDVDの発売通知である。これだって発売してからだいぶたってるはずだが、いまだにちょこちょこ増刷されてるようだ。これは間違いなく、関ジャニ人気のおかげだよなあ。