『自転車冒険記』と『プログラムポシェット』

朝の散歩の1コマ

 晴れた晴れた、朝からきれいに晴れた。
 このところ、我が家周辺は梅雨かと思うほど雨が続き、森の中に湿気がわだかまってる感じだったのだが、今朝はようやく吹き払われた感じである。東京では、というか全国的に猛暑だ猛暑だとニュースになってるが、僕にとっては「わーいよーやく布団ほせるぞー」って日である。
 で、朝から布団干し、その勢いで掃除に励む。日ごろ滅多にしないし、くろべーのシャンプーをして間もないので、黒い抜け毛が出るわ出るわ。お掃除ロボットso-ziのオキタくんがいくらがんばっても、ソファーの下などには無数の、まっくろくろすけが生息するものなのだ。


 そんなわけで午前は晴れて働き者だったが、午後に入って急に雲が多くなり、やばいかなと思って急いで布団たたき。
 そこにご近所さんがやってきて、「雨降ってくれた方が涼しくて庭仕事にありがたい」とのこと。日ごろ庭仕事もろくにしない僕にはない発想である。いや確かに、庭に建設中の新しい道は雨降ってくれた方が土を掘りやすいんだけども。
 確か7月から作りはじめたこの道、秋に開通を目指して頑張ってます。


 夜にはネット経由で嬉しい情報が2つ。
 1つは『自転車冒険記 12歳の助走』の重版情報。発売半年、自転車好きの方々を中心にじわじわ売れ続けてたおかげです。僕としてはまだ続編へのGOサインが出ないのがもどかしいんだけど、この調子ではずみがついてくれるといいなー。
 もう1つは何気なくツイッターを眺めてて見つけた「プログラムポシェット」って名前。かれこれ二十数年前に徳間書店から発行されてた、パソコンのプログラム投稿雑誌である。久々に目にして、というか話題にしてる人々を見つけて懐かしさ爆発って感じである。
 誌面にずらーっと印刷されたプログラムを見て、当時のマイコン少年(って言葉は当時から死語になりかけてたが)は1文字1文字キーボードから打ちこんでプログラムを再現してたのである。僕は読者であると同時に常連投稿者でもあった。多分いまでも実家の物置には掲載誌が保管してあるはずだが、当時300円くらいだった雑誌に今じゃあネットオークションで結構な高値がついててびっくり。
 まあ確かに、表紙画像を見ると胸が躍るような80年代デザインで、多少の金を払ってでも手に入れたいって人の気持ちも分かる。8ビットのパソコンで7色のグラフィックやテキスト文字を駆使して作られたゲーム画面ってのは、今から見ても、というより、今だからこそ何ともいえない味わいがあるよなー。


 当時の常連アマグラマー(アマチュアプログラマーの略。そんな言葉があったのだ当時は)は今ではどうしてるんだろうと、記憶に残ってた名前をネット検索してみた。そしたらびっくり、アイティーソリューションズっていう有名IT企業の公式サイトにその名前が!
 いやもちろん同姓同名の可能性もある。けれど、ご本人だったらいいなーとしみじみ。当時中学生だったプログラム少年が、その後システムエンジニアになって第一線で活躍してるんだとしたら、人ごとであってもとても嬉しい。少年野球のスター選手が20年後にプロ野球で活躍してるような感覚、といったら近いだろうか。


 懐かし話のついでに、『プログラムポシェット』で行われてたコンペ企画について。採用された常連の中で優勝した人に「グラム総理大臣」とか「グラム使いの王」とかの称号を贈るって企画があったけど、その第三弾以降って何だったっけ?
 「グラムゴジラ」だったかなあって記憶があるんだけど、キングになぞらえて「グラムキングギドラ」なんてのもあった気がするし、そもそもいつまで続いた企画なのかも記憶にない。コンピューターの進化の中、ベーシックでのプログラム作りって文化も下火になって、雑誌も廃刊になったんだもんなあ。
 そのあたりのこと、リアルに体験していた世代として小説に書けそうな気がするんだけど……問題はどうやって今日性を持たせるかだろーな。IT業界の一線で働くSEと業界を離れた元プログラマーを中心に、かつて少年たちのあこがれだったアマグラマーの消息を追いつつ、エミュレーターで再現した当時のゲームプログラムに隠されていた謎が明らかになっていき……って感じだろうか。
 まあ懐かし感覚だけの企画では成立しなそーだけど、他の要素と組み合わせれば何とかなりそうだ。……なーんて言い方は星新一の『できそこない博物館』みたいだけど、考えてみたらそれも徳間書店から出た本だな。まっくろくろすけスタジオジブリ徳間書店が母体だし、すげー会社なんだなあ。