民話風に登場する犬と力関係を計算する犬

におい嗅ぎのくろべー、迂回するユキ

 ご近所さんからお茶に招かれ、くろべーとお邪魔した。まあくろべーはお茶は飲まんけど、お菓子をもらったり女性陣に甘えたりしてご満悦。しゃがんで遊んでくれたお嬢さんに抱きついて押し倒した時にゃあ、さすがに飼い主としてどーしていいか困ってしまったが。
 離れでお茶をいただいてる最中、表で犬の声がすると思ったら、そのお宅の犬、ボクくんがいた。母屋のベランダで大工仕事してるご主人がガラス戸を開けた時に脱走して離れにやってきたらしい。くろべーの気配に気付いて遊びにきてくれたようだが、戸を開けてみたら犬がひとりで訪問してくるってのも民話風で楽しいもんである。
 くろべーは友達犬が現れて更に浮かれてるし、奥さんはその犬にハーネスをつけてるので、そんじゃあ一緒に散歩にいきますかーと誘ってみる。どのみち僕とくろべーは散歩も兼ねて出てきたのだ。奥さんと一緒にそのお宅のもう1頭の犬とお嬢さんも一緒に行くってことになり、3人と3頭で歩くことに。
 2頭のうち、新参者の若い雄犬のユキくんは日頃から散歩でくろべーに会うと吠えかかり、歯を剥いたり飛びかかったりして威嚇したりするのだが、今日は意外におとなしい。ほとんど吠えないし、くろべーが甘え鳴きして近寄った時だけ軽く威嚇するくらい。どうやら、いつも会う時はリードの持ち手がご主人なので気が大きくなってるが、今日の持ち手はお嬢さんなので強気に出られないようだ。不等式で表わすと、


 ご主人+ユキ>タケウチ+くろべー>お嬢さん+ユキ


 ってことになるらしい。犬なりになかなか複雑なパワーバランスを計算して態度を決めてるわけである。よく専門家が、犬の問題行動の大半は人間が原因とかいってるけど、これもそういうことなのかなあ。
 いつもはご夫婦で2頭を散歩させてるとこに僕とくろべーが遭遇するので、今度あったらご夫婦でリードを交換してもらったらどうなるか実験してみたいものだ。「奥さん+ユキ」ってのは順位的にどこに位置するのか、そしてそれはご一家の順位をどの程度反映してるのか、ちょっと興味深い。
 まあいずれにしても、くろべーは彼らを見るなり大喜びで甘え鳴きして駆け寄ることだけは間違いないだろーなー。