アレン映画とゲラ喜劇

ここらはアジサイがまだ咲いてます

 前回書いたウディ・アレンの『誘惑のアフロディーテ』、予想を上回って面白かった〜。
ミラ・ソルヴィーノの役どころの広さにも感心したけど、やっぱりウディ・アレンの演出術に感嘆。リンダっていう役はそれだけだとアカデミー賞に選ばれるかどうか疑問だけど、アレン演出の中で作品に占めるポジションを考えると助演女優賞ってのも納得できる。ウディ・アレンアカデミー賞が好きじゃないようだけど、賞の方ではアレン作品って好きそうだし。
 何はともあれ、『誘惑のアフロディーテ』映画全体としてとても楽しいコメディーだった。下ネタ全開でも嫌らしくならず、ご都合主義さえユーモアとして楽しめる感覚が素晴らしい。のっけからギリシア演劇のコロス(合唱隊)の登場に驚いたが、それが全編にわたって最高の味わいになっていた。
これまで『海辺のカフカ』が好きな人には『図書館の水脈』も読むべしと訴えてきたけれど、この『誘惑のアフロディーテ』もぜひ見てほしい。カラスと言われる少年の存在を、より深く楽しむことができるはずだ。
 もし『図書館の水脈』を書く前にこの『誘惑のアフロディーテ』を見てたら、たぶん作中で言及せずにおれなかったんじゃないかなあ。女優つながりで『ジェイクス・ウィメン』に言及すれば、甲町さんのシーンとつながったりもしそうだし。


 女優つながりといえば、ネット検索で見かけた情報によると、9月28日はミラ・ソルヴィーノの誕生日らしい。だから何だってことでもないが、いまは40代半ばで4児の母親だと知ると、なんとなくウディ・アレンの描くエピローグっぽくていいなーと思う。
 そんな9月28日、僕はというと、何故かゲラが続けざまに届いた。連載のゲラが宅配で届いた直後、ネットにつないだらメールでも別のゲラが届いてて、これがコメディー映画だったら必然的に2つのゲラが入れ換わってひと騒動巻き起こるところである。
 僕の本名でやってる仕事と、別名義でやってる全然作風の違う仕事の原稿が入れ違って……なんて空想してみるととちょっと楽しいね。そんなことぼんやり考えてると仕事はちっとも進まんけれど。