ゲラ返送とプチ引越

山荘近くを散歩中に見つけた何かの巣

 朝からゲラの封入作業。――昨日、『司書室のキリギリス』(http://www.f-bungei.jp/novel/novel_11_1.html)最終回と『シチュエーションパズルの攻防』文庫版の著者校正を一気に仕上げたのだ。

 それを持って車に乗り込み、昼前に不動産屋へ。この冬の越冬地を決めたので、その契約を済ませて鍵を受け取り、引っ越し第一便の荷物の運び込み。今回はくろべーと共に住めるマンションで、久々に町暮らしの予定である。
 そして住所は福島県。――理由はいろいろあるけれど、とにかく一度住んでみたいと思ったのだ。復興元年と言われる今年、実際に暮らしながらいろんなことを調べたり考えたりしてみたい。原発不安からヒステリックに誰かを罵ってばかりって人には反発をおぼえるし、僕自身の創作に繋げるにはとにかく一度身を置いてみることだって気がしているのである。
 なので今後、僕に向かって場所ごとの放射線量がどうの原発推進派の陰謀がどうのと告げてくるのはやめてくださいね。んなもん吹きこまれても僕には役に立たないし、単に不快な気持ちになるだけです。不安や憎悪にとらわれ、聞かれてもいない自説を声高に叫んでるような人とは極力関わりたくないと思ってます。
 食事中の人に向かって農薬や添加物が含まれてると告げて得意がってる奴はマナーをわきまえない馬鹿だと思われるのと同様、身勝手な正義感に酔ってTPOもわきまえずに主義主張を押しつけてくる奴もまともな神経とは思えない。相手の気持ちも考えずに「お前の暮らしてるとこは放射能がいっぱい」などと告げていいこと言ってる気になってる馬鹿の話になんか耳を傾ける気にはならない今日この頃。


 入居前のプチ引っ越し、友人と共に荷物を運んでほっと一息。近所のレストランでお昼を食べて、午後は近所の図書館へ。――この街を選んだ理由の一つは、ここの図書館が好きになったってことも大きいのです。
 書架の間を歩き回って雑談したり本を選んだりしてたんだけど、ふと目に着いたのが『作家の猫』って本。豊富な写真を眺めつつ、なんでこーゆー時は猫なんだ、犬はないのかなって話になる。やっぱり作家といったら猫なんだとか、家の中の仕事だから猫の方が似合うのだろーかなどと言ってたら、ちょいと離れたとこに『作家の犬』って本も発見。ちゃんとあるんだねーと笑いつつ、やっぱり犬より猫の方が先に出版されてんだな。

作家の犬 (コロナ・ブックス)

作家の犬 (コロナ・ブックス)

 で、その本をぺらぺらとめくっててびっくり。僕の名前が載っているではないか。――残念ながらくろべーと一緒に登場してるわけじゃないのだが、スタインベックの名著『チャーリーとの旅』の翻訳者として名前が出てたのである。こういうのって嬉しいね。
チャーリーとの旅

チャーリーとの旅

 そして図書館の小説である『司書室のキリギリス』の最終回のゲラを返送した日に、図書館でこういう本を発見できたってのも何かの縁かなーと思う。続編を書ける機会にめぐまれたら、是非犬の本についての話なんかも書いてみたいものだ……