脱稿コールマとヤマカワ昼寝

これにナンを追加した

 この夏に取り組んでた長編小説が脱稿。発表先は未定だが、ずーっと前から考えた僕にとって大事なテーマ(『オアシス』や『じーさん』みたいなコメディーの方向性をつきつめられないか?)を作品化できたので、結構嬉しい。
 午前中にいろいろまとめて一息ついて、遅めのお昼は個人的お祝いってことにした。こないだ行って美味しかったインド料理屋まで車を飛ばし、さあ食うぞーと張り切って注文。
 こないだはセットメニューにしちゃったので個別のメニューは試さなかったんだけど、「コールマ」とか「ムグライ」とかいう単語が気になってたのである。カレーだからといって辛さに走るんじゃなく、乳製品や各種の豆ペーストを活かしてまろやかさの中にスパイスをきかせるって感じの料理。北インド系のメニューらしいけど、個人的に好きなのだ。
 カレーはもともと大好きだし、朝からろくなもん食ってなかったので、ほくほくしながらオーダー。コルマのポークとサフランライスとラッシーを注文。サフランライスっつってもただサフランでただ黄色くしたご飯じゃなく、クミンとガーリックを効かせた野菜たっぷり焼き飯にして出してくれる店で、僕はこのサフランライスだけ食いまくりたいくらい好きなのだ。
 だけど不思議なもんで、ポークコルマもサフランライスもうまいのに、一緒に食べるとちょっといまいち。ヨーロッパ料理のピラフとクリームシチューみたいな感じで、それぞれ別に食べた方がうまいのだ。コルマといいつつカレーでもあるので、インド料理っぽさを味わうためにナンを追加オーダー。腹いっぱいなランチとなった。


 午後は図書館で過ごし、美味しいパン屋や蔵元を回って帰宅。ドライブの後で猛烈に眠くなり、ベッドに寝転んで読書。大河ドラマ『八重の桜』の関連本を借りたので、それをぱらぱら眺める。
 そんで唐突に思いだした。会津藩が滅びていくストーリーの中で、白虎隊絡みでちょこちょこ出てくる山川健次郎。主人公の八重の親戚らしいんだけど――どーも聞き覚えのある名前だなーと思ってたのだ。彼は確か、明治の日本で初めてカレーライスを食べたって言われてる人ではないか!
 大河ドラマじゃ描かれてないようだけど、山川健次郎は幕末の動乱の後でアメリカに留学する際、船の上でカレーライスを出されたらしい。口に会わずにライスの部分だけ食べたらしいが、それでもカレーについての記述を残してて、それが日本人初のカレーライス体験ともいわれてんのである。
 まあ日本初かどーかは考え方次第だけど、僕はかつて『カレーライフ』って小説を書いた時、彼の名前を拝借して「ヤマカワ」ってキャラクターを出した。カレーへのネガティブ反応を示した山川健次郎からとった名前ってことで、ちょっとした悪役にした覚えがある。
 僕の小説って悪役はあんまり出てこないんだけど、そのせいでヤマカワは意外と印象的な存在となったらしい。後に日本テレビで舞台化された際にも、多くのキャラクターが割愛される中でヤマカワはしっかり生き残り、大口兼悟さんの見事な役作りでもって舞台にぴりっとスパイスを利かせる役どころとなっていた。
 そんなヤマカワが、こーして大河ドラマに出てて(いや山川健次郎とヤマカワとの間にはつながりはないんだけどね)、それにこういう日に気付くってことが、ちょっと感慨深い。そんなことを考えながら、夕方から夜まで深々と昼寝した僕であった。