ゴムバンドカポタストとジャイアンリサイタル

森の中のこんな場所で演奏

 一五一会続報。購入して約2週間、なるべく毎日弾くようにしてたら、下手なりにだんだん慣れてきたようだ。
 まだ結構な確率で調子はずれな音が出るし、つっかえたり戻ったりしながらだけど、コード進行ってこういうものなのかって感覚がぼんやりつかめてきたのが嬉しい。あらためて『涙そうそう』ってきれいな曲だなーと思ったり、『お嫁においで』ってこんなに楽しい曲だったのかーと気付いたり、弾き語ることでその曲をより深く味わえる気がするんだよね。
 中でも『ぼくらが旅に出る理由』って曲はすごいなーと感心しきり。これまでもカラオケで歌ったりはしたけれど、弾き語ってみるとサビのあたりの気持ち良さが格別だった。ただでさえ簡略化されてると思しきギターのコード譜を手作業で強引に一五一会コード譜に移し替えてるわけだし、序盤は演奏が下手なだけじゃなくてどーもコードが違ってるかなーって気もしてるんだけど、後半は文句なしに楽しい。弾き語りしてると、歌詞の世界観にもすっとなじめる気がするんだよね。
 ここ数年、執筆方面では小沢俊夫さんの昔話理論に傾倒していろいろ勉強してるんだけど、音楽ではそのご子息の小沢健二さんにあらためて傾倒してるわけで、こういうのも不思議な縁だなーと思う。


 ちなみに、この二週間で楽器本体以外に購入したのは、肩にかけて演奏するためのストラップ(数百円)と、キーを変えるためのカポタスト(数百円)と、弾き方DVD(数千円)くらい。チューニング用の道具もいろいろ出てるようだけど、無料アプリをダウンロードしたので無料で済んだ。
 あとは楽譜とか本とかあるといろいろ便利だろーけど、僕みたいにマイペースでのんびりやればいいやって人間には当面必要ないし、ギター用のコード譜だったらネットでいろいろ拾えるようなので、一五一会本体(数万円)さえ買っちまえば、ローコストで長く楽しめる趣味だなーと思う。世の中の大抵の人は僕より音楽的才能に恵まれてると思うので、気の向いた方は購入して覚えておいらにいろいろご指導ください……
 ちなみに、ストラップは持ってないと弾きにくいから最初から楽器の付属品でついてていいんじゃないかなーとも思った。DVDは一五一会の開発者でもあるBEGINの皆さんがソフトかつテーゲーな語り口でいろいろ丁寧に教えてくれて参考になるので最初から技術のある人以外にはかなり役立つ気がする。
 カポタストについては、田舎の楽器店に買いに行ったら数千円の機械部品っぽいやつか数百円のゴムバンド式の二択になり、ゴムバンドの柄に選択肢がないのがちょっと悲しかったが、貧乏性のおいらは数百円のものを選んだ。しかし使ってみると便利なもんで、カラオケではちっとも理解できなかったキーの感覚がようやく実感できた。普段は一五一会をGチューニングにしてる僕だけど、『涙そうそう』も『お嫁においで』も『ぼくらが旅に出る理由』も基本コードはAだそうなんで、カポで調整してみたところ、実にすんなり気持ちよかった。まあ最初からそういう曲を弾く時はAチューニングにすりゃーいいんだろうけど、カポでお手軽にキーを変えられるのは便利かつ楽しいもんだねー。
 で、今日は朝からすごく冷え込んでたわりにいい天気だったので、散歩と朝食を終えた後でベランダに出て演奏。どーせ周囲一帯に人なんかいないので、失敗しよーがうるさかろーが気にすることねーやとジャカジャカ弾いたり歌ったり。だんだん気温が上がるにつれて声も出るようになってきて、森の中の心楽しいひとときであった。
 その最中、ふっと誰かの気配というか、視線を感じて顔を上げた。――見れば、我が家の前の小路を、一頭の猿が歩いてるではないか。
 どうやら森の演奏会の初めてのお客のようである。森に響く物音が気になるのか、こっちをじーっと見ながらてくてく歩き過ぎていく。野生の猿も逃げ出すようなジャイアンリサイタル状態じゃなかったのなら何よりだが、どーせなら猿も足を止めて聞き惚れるような弾き語りをしてみたいもんだなー……。