問題犬の襲来と吹奏楽の資料

こいつは頼りにならねーし……

 寒波襲来ってことで、一昨日から寒い日が続いている。初雪も降ったし暖房の燃料の灯油も切れそうだし、なかなか険呑な今日この頃。今シーズンの越冬地もまだ決まってないし。
 おまけに今日は、もっと険呑なことが。夕方散歩で、問題ありげなシェパード犬に襲われかかったのだ。まあ派手に吠えながら走ってきただけだから、その後で咬みつこうとしてたのかまでは分からんけど、こっちにはくろべーもいることだし、社会性がなく運動性が高い犬に妙なスイッチが入ると猛獣とさして変わらない。あとになってから、結構ヤバい状況だったなーと怖くなった。
 寒波の訪れたこの時期、うちの周りの別荘地にはほとんど人けはない。こっちも安心してノーリードで歩けるのだが、一応人の接近には気をつけている。老犬くろべーの足取りが遅いこともあり、僕が先に立って安全を確かめてたのだが……坂を下ってリゾートマンションの駐車場に近づいた時点で足を止めた。
 ここにも人けがなけりゃあくろべーのいい遊び場になるってのに、今日は青い車が止まってて、これは危険信号なのである。この車の持ち主さんは駐車場の下の家に住んでいて、こないだ大きなシェパードと何かもう1頭連れてるのに遭遇したのだ。一瞬くろべーと遊べる奴かなーと期待したが、くろべーを認めるやいなや猛然と吠えたてるタイプの問題犬で、飼い主さんは持ってるリードを強く引っ張って引き離していた。
 そして今日は、そのシェパードが何故かノーリードで放されていた。斥候状態で先に歩いてた僕に気付くや、猛然と吠えはじめたと思ったら、斜面を駆け上ってきた。最初は駐車場をうろうろしながら吠えてるだけだったが、やがてくろべーの存在に気付いたのか、さらに上ってこっちに向かってきた。やんちゃな年頃の犬の、「遊ぼうぜ」状態なのかもしれないが、自分の縄張りへの侵入者を警戒してるようでもある。
 僕との距離は数十メートル。何はともあれくろべーにリードをつないで遠ざかろうとしたのだが(なにしろこんな相手にも甘え鳴きして近寄りたがっている)、奴はさらに吠えつつ寄ってくる。遠くで飼い主さんが声を上げてるのが聞こえるが、どうやら僕が背中を向けると接近してくるようだ。
 距離は縮まって十数メートル。僕は咄嗟に道の真ん中に立ち、シェパードと正面から向き合って「こぉら〜〜っ!」と怒鳴りつけた。こないだクマに出会ったことを思い出し、こりゃあ逃げる方がヤバいかなと思ったのである。
 一応飼い犬だからかおいらの声が大きいからか、シェパードも足を止めた。しかし僕がくろべーを連れたまま後退しようとすると、奴の方ではまた吠えて寄ってこようとする。僕は奴を睨んで開いた手を突き出し、また最大ボリュームで声を上げた。
 シェパードへの威嚇と同時に、飼い主さんに向かって「人が声を上げてるヤバい状況だぞ」と知らせる意味もあった。駐車場の下の家からは人の走ってくる気配がするが、犬さえその気になったらこっちに襲いかかってくる方が早いに決まってる。とびかかってきたら、まずは首輪を押さえることかなーとか、くろべーを解放して奴にリードを繋ぐべきだろうけど、格闘になってそんなことできるかなーなどと考えていた。
 幸い、そうやって対峙してる間に飼い主さんが追いついてきた。しかしシェパードは加勢を得たように感じたのか、さらに向かってこようとする。再び怒鳴りつけると止まるものの、うろたえた飼い主さんはどーにか首輪に触れてるって程度で、「ダメじゃない玄関から出ちゃあ」などと間の抜けた言い訳を口にしてるだけ。犬が理解してるとも思えんし僕に対しても何の意味もない。
 仮に遭遇したのが犬慣れしてない女性で、悲鳴を上げて逃げたりしてたら追いかけたがるシェパードによってどんな惨事が起こってたのか――などと思わずにはいられない。何より、俊敏で力強いシェパードを保持できてるとは思えなかった。ここで背中を向けたら振り切って走ってきそうなので、「まずはリードを繋いでもらえます?」と頼み、それを確認してから背を向けて歩きだした。
 ……つうわけで、とりあえず何事もなく済んだけど、犬に対して人に対して、僕の対処は正しかったのかなあ? そして仮にシェパードが飛びかかってくるようなことになったら、どうやって戦えばいいのかなあ? 百獣の王を目指す武井壮さんあたりに尋ねてみたいものだ。


 帰宅してほっとして、熱い風呂に入ってのんびり読書。
 このところ、勉強のために吹奏楽や楽器に関する本をいろいろ読んでるんだけど、リードを使う管楽器ってつくづく習得が大変なんだなーと思う。僕の周りには昔から楽器の得意な友人が結構いたんだけど、彼らはすごいことしてたんだなーと今更ながらに思う。
 おまけにバンド内における人間関係の大変さの例を見たりすると、集団行動の苦手な僕にゃあとても無理だなーと思ってしまう。吹奏楽部とかブラバンとか、それなりの規模の学校にはあったもんだけど、みんな結構大変なことしてたんだね。
 そこいくと、一五一会はなんて楽に入れる楽器なんだろー……っつうことで、今回も無理やり話題にからめてみました。