吹奏楽小説と追悼観賞会
Webマガジン「カラフル」(http://www.f-bungei.jp/)で連載してる吹奏楽小説、『ぱらっぱフーガ』のラストシーンを書き終えた。
書き上げた後って、本当にそこで終わりか確証がもてない気分になることがあるんだけど、一晩寝て起きて読み返してみて、やっぱりここでラストでいいやと確認。たしか2月くらいから連載開始だったから、半年ちょっと取り組んでたわけで、とりあえず一段落だなーとほっと一息。
僕はカレーとか自転車とかビールとか、何かもともと好きで予備知識のあるものをテーマにして小説を書くことが多いけれど、今回の吹奏楽はそうじゃなかった。「吹奏楽の青春小説を」って依頼を受けるまで、吹奏楽にまつわる知識はほぼ皆無(ユーフォニアムって何?)で、小説を書きつついろいろ知っていった感じなんだけど、これがいい経験だった。おかげで吹奏楽のいろんな魅力に触れられたし、自分でも吹奏楽曲をよく聴くようになったし。
僕はもともとインスト曲はよく聴く方だったのだが、「ジャズのビッグバンドは好きだけどオーケストラはちょっと苦手」っていう、自分でも何故だか分からん傾向があった。それが小説のためにいろんな吹奏楽曲を聞いてるうちに、「そーか吹奏楽ってビッグバンドとオーケストラの中間にいるんだな」って認識に達した。いやそれが正しいのか知らんけど、個人的にはそういう把握の仕方をして、それを契機にオーケストラやクラシックも聴くようになってきた。こうやって仕事を通して自分の趣味の幅が広がるのって、人生を豊かにしてもらえたようで嬉しいね。
余談ながら、資料や勉強としていろんな本を読んでく中で、一番影響を受けたというか、感覚的に刺激を与えてくれたのは小澤征爾さんの本だった。前から『僕の音楽武者修行』は読んでたけど、執筆中に何度か再読したし、村上春樹さんとの対談本とかCDのライナーノーツとかもあれこれ読んだ。内容的には直接関係ないんだけど、音楽と言葉を繋ぐ回路を開いてくれるような、不思議な心地よさがあったのだ。そういう意味でも世界のオザワってすごいなあ。
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以前から気になってはいた作品なんだけど、日本では劇場未公開ってことで見る機会もないまま今に至っていた。見ながらDVDジャケットで制作年度を確認せずにおれなかったんだけど……これが2006年に全米で公開されてたってのがなんとも興味深い。「投票システムのエラーで大統領に当選」っていう設定自体、2000年11月にジョージ・W・ブッシュが投票システムと司法システムを駆使して大統領の座を簒奪したってことのパロディーではないか。
そりゃまあ、そんな映画がブッシュ再選の前に公開できるわけもないから2006年公開なんだろうけど、まだブッシュが現職の座にあるうちに公開しちゃったってのもすごいことだよなー。脚本・監督は『グッド・モーニング・ベトナム』のバリー・レヴィンソンだというし、娯楽作品としてまとまっていながら、実はすごく反骨精神に貫かれた作品なんじゃなかろーか。