連載の最終回と絵本の舞台化

さて、どのキャラクターでしょう?

 Webマガジン「カラフル」(http://www.f-bungei.jp/)連載の吹奏楽小説『ぱらっぱフーガ』の最終回が公開された。これから単行本化に向けての直しはあるにせよ、何はともあれひと段落ってことで、最近はのんびり遊んで暮らしている。
 その一環として、福島県白河市で開催されてる「ご当地キャラこども夢フェスタin白河」ってのに小旅行。仕事絡みの打ち合わせが主目的で、ついでにイベント見物って感じなんだけど、僕は去年このイベントに来て以来、妙にこういうのが好きになっちゃったのだ。白河はかつて暮らしたことのある街だし、日常の風景の中で2頭身や3頭身のご当地キャラがうろうろしてるのを見てるだけで、藤子不二雄の世界にまぎれこんだようで楽しくなってくる。様々なキャラクターの造形を眺めつつ、いったいどういうコンセプトでこういうデザインになったんだろうと考えるのも知的刺激な気がするし。
 その中で、個人的に一番応援しているキャラクターがいる。一応まだ名前は伏せておくけれど……去年このイベントに来て初めて知って、その後ひょんなきっかけでその仕掛け人というか、主催団体の方と知り合い、仕事として関わることになったのである。そこの社長さんがそのキャラクターを使った絵本を作りたがってたとかで、僕が絵本作家さんを紹介することになり、僕が文章を書き、彼女が絵を描いて絵本を制作することになったのだ。
 知り合って1年後のイベント当日、その絵本用の原画が納品されることとなった。なんだかんだで刊行は2015年春ってことになったが、何はともあれ完成って気分を味わいながらゆるキャライベントを見物。それぞれのキャラクターの宣伝ブース、街角各所に設けられたステージでのショー、着ぐるみキャラのパレートや街歩きって感じであちこち見回せば不思議な生き物がうようよしてる。去年も見かけた同じキャラクターや、新たに生まれたらしきキャラクター、微妙にデザインを変えたキャラクターなんかもいて、きょろきょろ見回してるだけで飽きない。


 そしてイベント終了後、納品&打ち合わせ。依頼側のお二人も原画の出来を喜んでくださってて嬉しいかぎり。
 僕の書いたスト―リーも、早速活用されてたらしい。到着時刻の関係で、イチオシ某キャラのステージショーは見られなかったんだけど、聞けばそのステージで、絵本用ストーリーの一部を抜粋した寸劇が上演されてたんだそうな。
 出版の前に、早くも舞台化されたようなもんで、それを上演後に知らされるのもなんだか不思議な気分である。もともと本格的な舞踊をおさめた上でのステージングを見せるキャラクターだし、そのショーのための脚本や演出もプロの方々が手がけたとかで、寸劇とはいえかなり力のこもったものらしい。某キャラの追っかけファンもいることだし、見た方々の感想を聞いてみたいもんだなー……ていうか俺も是非見たいぞそのステージ。
 その絵本用ストーリーってのは、ご当地キャラクターの設定を一通り聞いた後、既存の伝承や史実を織り交ぜ、僕の創作として書き上げさせてもらった。それがこうして上演されたってことは、僕の作ったストーリーが公式にそのキャラクターの由来となったわけで、こういうのも光栄っちゃあ光栄だなーと思う。
 絵本用だから短いお話なんだけど、各種伝承のエッセンスや小説的手法を活かしたものになったし、ここ数年小沢俊夫さんの昔話理論を勉強していたおかげで各地の昔話や民話を素材にすることができた。いつか小説に活用したいと思っていたものが、思わぬ形で一足先に生きたって感覚で、人様のキャラクターを使ったわりに不思議と感慨深い物語になっている。願わくば――ファンの方々に気に入ってもらえたり、ステージや絵本を通して知った方がこのキャラクターを好きになってくれたら嬉しいなーと思う。
 そして楽しみなのは、来年春の絵本刊行。――僕はもともと、小説家になりたいと思うより先に童話作家になりたいと思ってた子供だったのだ。今回の絵本で童話デビューとまではいえないけれど、新たなジャンルの本が出せるのはとても嬉しいし、どんな形で展開するのかなーと期待しながら刊行を待とうと思う。