くろべーの体調と言ちゃんの絵本

黒犬と白猫、いつか2ショット撮ろうぜ

 6時すぎ、寝床にしてるロフトの下でドタって音がして、慌てて飛び起きた。――どうやらくろべーが水を飲みにいこうとして、カーペットからフローリングの床にかわるところでつるっと滑って転んじゃったらしい。もう脚のふんばりがきかなくなってきてるんだなあ……
 昨夜つくったササミと温野菜のご飯もほとんど食べてくれなかったし、どうすりゃいいんだろーと朝から頭を抱える。とりあえず日中、滑り止めフロアシートみたいなのを買ってこようと思うんだけど……そもそもこのところ、どうもくろべーの元気がないのだ。
 散歩に出てもすぐ歩を止めて帰りたがるし、食欲ないのが困ったところ。一度おやつに当たったんだかアレルギーだかでお腹を壊して以来、いつも食べてるドライフード(グルコサミン配合の療法食)のにおいが嫌になっちゃったみたいで、ろくに食べてくれないのだ。療法成分をとらなかったらもっと悪くなっちゃうじゃないか、と心配で仕方ない。
 そこで先日、かかりつけの動物病院で診てもらった。先生いわく、「老化なんだから食べないのはしょうがない、好きなようにさせてやりな」とのこと。それからは鶏肉を茹でたり温野菜と和えたりして出し、療法成分はサプリメント的な犬用おやつで補給するようにしてるんだけど、それも時によっては食べてくれないんだよなあ。
 でも診察室で診てもらった時はドライブでお出かけして先生にかわいがってもらったせいか興奮気味で、その場で出してもらったフードは猛然と食いついてたいらげた。先生が桃太郎だったら鬼ケ島までついていきそうな勢いで、家で苦労してたのは何だったんだと思ってしまった。
 聞けば、そのフードはもともと、アレルギー症の犬のために開発された療法食なんだそうだけど、多くの犬や猫に対して「妙に食が進む」って効果があるんだそうな。「副作用みたいなもんだ」とのことだったけど、いい効果でも副作用って呼ぶんだな。肥満犬だと困るからかな。
 フードじゃなく、錠剤でも「アレルギー症の薬なんだけど食欲増進」っていうのがあるんだそうで、とりあえずそれを出してもらって帰ってきたのだが……今朝のくろべーはその錠剤も口に入れた後で「ペッ」と吐きだしてしまう。おめー、こないだ診察室じゃあこの錠剤もおやつみたいに喜んで食べてたじゃんかよー!
 結局、今朝は無理やり口に押し込もうとして失敗したあげく、チーズとかキュウリとかトマトとか、もともと好きな食材をちょっとずつ手にのせて食べさせた。それだって量としてはわずかなもんだし、これまで好きだったサプリ系ビスケットまで食べないのだから途方にくれる。どうしたらいいのかなあ……
 そんなくろべーも、明日5月1日で満14歳。諸説あるけど、大型犬の14歳は人間でいえば100歳くらいなんて話もある。飯食って元気になって、もっともっと長生きしておくれ。


 なんて心配ごとばかりで終わっては申し訳ないので、いいニュース。
 昨日4月29日に、絵本『ねこものがたり』が届いた。東京都墨田区ご当地キャラ、「向嶋言問姐さん」の絵本で、もしかしたら正式な書名は『向嶋言問姐さんのねこものがたり』かも。通称・言ちゃんという芸者猫の絵本を作りたいという企画で、僕は絵本の文章として参加させてもらってるのだ。
 絵を担当したのは絵本作家のしのづかゆみこさん、発行元はアポロ印刷。販売方法はちょっと独特みたいだけど、5月に入ったらアポロ印刷の公式サイトで通販が始まるみたいです。
 僕はもともと児童文学みたいなものも書いてたし、いつか絵本も出したいと思ってたので、こういう本に携われていい経験だった。ひょんなことから向嶋言問姐さん事務局ってところと知り合い、言ちゃんの絵本を出したいって話を聞いて、それなら絵本作家の方をご紹介しましょうか……なんてなことになって、あれよあれよと実現した企画なのだ。
 もともと向嶋言問姐さんってキャラは、「墨田区向島にちなんで芸者さんのキャラを作ろう、猫だったらかわいいかな」ってコンセプトで生まれたんだそうだ。特に細かい設定はなかったんだけど、キャラクター誕生の後で、墨田区の回向院に猫塚っていう猫好きの名所があるとか、名前の由来となった在原業平の和歌も猫に関係があるとか、いろんなつながりに気づいたりしたらしい。なら絵本を作る際は、そういう由来話や猫にまつわる伝承をいろいろ取り混ぜて一本の物語にしてはどうでしょう――なーんて提案して、僕がその文章を書くことになった。
 いってみりゃ、既に存在しているゆるキャラの設定や由来話のストーリーを僕が作ってしまったわけで、こういう経験も滅多にできるもんではない。いろんな猫の伝承を調べて物語にしていくのはとても楽しかったし、あとはこの絵本がいろんな人に楽しんでもらえることを祈るばかり。