通信途絶と積雪読書

最後に撮影した一枚、「自撮り犬」

 スマホイカれてしまいました。
 これまでも何度か調子悪くなってたけど、今度は本格的にダメなのか、スタート画面が何度も繰り返されるばかりで起動できない。まるっきり使い物にならないので電源を切ってあります。
 当然、電話は不通状態。当面、御用の方はメールなりSNSのメッセージなりお願いします! ネットも常時接続ってわけじゃないけど、起きてる時間はわりとマメにチェックすると思うので。
 なにしろ、木曜夜から雪が降り始め、金曜は終日ざんざか降っていて、土曜現在積雪20センチって状況。とてもじゃないがドコモショップに行く気にもなれないのです。この際だから、週末は電話の通じない状態で過ごそうかと思っております。


 つうわけで、急な連絡とれないのは困るかもしれんけど、大雪の中、ストーブの前で静かに料理などしつつ読書にふけるのも悪くない。前回のブログで『BILLY BAT』のことを書いたけど、『モーニング』で最終章の連載が始まり、どうなるんだーとわくわくしてるうちに『火の鳥』を再読したくなり、図書館で全巻を借りてきてしまったのだ。やっぱり共通点というか、通じるところが結構あって読み比べると楽しい。『BILLY BAT』も「壮大な歴史絵巻」みたいにたとえられるけど、やっぱり『火の鳥』はそれをはるかに凌ぐスケール感だなあ。

火の鳥【全12巻セット】

火の鳥【全12巻セット】

 そして仕事がらみで、3月刊行予定の『ホラベンチャー!』の参考文献リストを作った勢いで小澤俊夫柳田国男と読み始めたら、なんだかやめられなくなってしまった。おまけに、昔話についての文献のはずなのに、そういう本からも『BILLY BAT』や『火の鳥』につながるものが受け取れる。『昔話の語法』と『BILLY BAT』は、『ホラベンチャー!』の執筆中に刺激や励ましを受けた二巨頭といってもいいので、ここにきて繋がりが見つかるのがなんだか嬉しい。
昔話の語法 (福音館の単行本)

昔話の語法 (福音館の単行本)

日本の昔話 (新潮文庫)

日本の昔話 (新潮文庫)

日本の伝説 (新潮文庫)

日本の伝説 (新潮文庫)

 たとえば、小澤俊夫さんの『こんにちは、昔話です』は初心者向け入門書で、講演録の喋り言葉を交えて分かりやすく書かれてるんだけど、ディズニーについては割と辛辣に言及されている(ついでに桐生操については超ボロクソで痛快)。そのあたり、「昔話本来の語法」と「ディズニーの手法」の関係って、そのまま「Wケヴィンのビリー」と「ティミーのビリー」にあてはまりそうな気がする。 他にも「絵に描くこと」の大切さについて言及されてるのは『BILLY BAT』に出てくる漫画家たちを連想させるし、「私たちは伝承の途中にいる。終点にいつのではない」とまとめられてるのを読むと砂の上に描かれた漫画を連想せずにはいられない。もしや浦沢直樹さんはこの本を読んでたのかなーって気がしてくるほどだが……いや多分、ある種の大切なことについて言及しようとすると、話はどこかで繋がってくるってことなんだろうな。
 そして偉大な先達の作品に触れつつ、自分も同じ方向を目指してるんだと実感できるのが嬉しい。こないだ創元推理文庫から刊行された『ディスリスペクトの迎撃』は局地戦、3月に双葉社から刊行予定の『ホラベンチャー!』は総力戦って意識なんだけど、やっぱり僕の目指すところは物語賛歌なのかなって気がしてるのだ。 柳田国男から小澤俊夫に至る伝承文学研究の流れで、「昔話」と「伝説」の定義づけがあるのだが、僕はその中間くらいに「ホラ話」ってのを位置付けている。かつて書いた『じーさん武勇伝』や『オアシス』ではそういうところを目指してて、だから他の小説とは異なる文体になってるのかなと思うんだけど……それは僕にとって、自分の中の物語欲求を自然に形にしたものでもある。初めてそれを意図的に追いかけてみた『ホラベンチャー!』が、新たな一歩を踏み出すことにつながればいいのだけれど。