片栗の採集と名著の絶版

「食べ物かな?」の顔

 昨日のくろべー散歩でカタクリの群生地を発見したので、今日は雨が降る前に採集&撮影。野生の片栗、一度食べてみようと思ってたのだ。
 片栗粉って言葉はあるけど、あれって実はジャガイモのデンプンなんだそうな。今はカタクリの収穫量が少なくなって名前だけ残ってるんだそうだが、うちの近所にはいっぱい生えてるので是非一度味わっておきたい。カタクリを食べずして片栗粉を語るなかれってなもんである。
 スコップとビニール袋を持参してくろべーと歩いていく。おいらが花の傍らにしゃがみこんでると、「おっ、食い物か?」なんて顔してすっ飛んでくるくろべーだが、紫のきれいな花も真っ白の地下茎も特に興味はないらしい。根元あたりの茎を齧ってみたら苦味えぐ味は全くなくてほのかに甘かったが、犬には特に魅力はないにおいなのかな。
 本によると球根みたいになるそうだが、僕が掘り出したのは球体ではなくて根っこっぽさが強い。まだ収穫には早かったようだから花の時期が終わった頃にでも再び掘り出してみようかと思うが、とりあえず今夜は暖炉でこのカタクリの根をジャガイモみたいに煮込んで食べてみる予定。今後おいらの音信が途絶えるようなら、「ははあ、カタクリじゃなくてほかの草だったな」と思っていただければ……


 昼前後はまだ雨もなくてテラスで七輪料理ができたが、午後に仕事部屋で著者校正に励んでいたらいつの間にか降り出していた。こうなると夕方のくろべー散歩が面倒だなーと思っていたら電話が鳴った。
 電話の相手は小学館の担当者で、随分とお久しぶりである。引っ越しの連絡もろくにしてなかった僕は何はともあれ近況報告って感じになったが、用件はというと『笑うカドには』単行本の絶版の知らせであった。
 あんまり売れなかったから絶版になるわけだが、僕はこの本が妙に好きである。伊東四朗爆笑問題タカアンドトシテツandトモへのインタビュールポで、僕なりにとてもしっかりした仕事ができたと自負しているし、この業界に入って初めて編集者の力量ってものに敬意を抱くこともできた。僕はだいたい仕事の話となると担当者にボロクソ言うことが多くてそれで揉めることも少なくないのだが(集英社は逆ギレ、幻冬舎はバックレで今に至っている)、この『笑うカドには』と『図書館の水脈』については本当に全てにいい仕事させてもらったと思っている……わりにゃあ売れなかったなー!(しみじみ)
 『文芸ポスト』誌上でお笑い芸人の方々への取材を行った頃は、タカアンドトシもブレイク前どころかお笑いブームの前夜って感じで、テレビ界ではオンエアバトルが若手発掘に孤軍奮闘してる頃だった。言ってみりゃあ今のブームを予見していた書物なんだが……なにしろ僕のネームバリューがない上、書店では芸能コーナーじゃなくて文芸コーナーに並んでたってのが痛かった。いつか機会があったら是非文庫化されるといいんだけど……どっちかってえと古本として資料的価値が上がるって本かもしれないね。
 つうわけで、マニアの皆さん、定価で買うなら今のうちです。きっと将来値上がりしますよ。

笑うカドには―お笑い巡礼・マルコポーロ

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