ハウスキーピングとファンヒーター

No Kurobey,No Life.

 猛暑が一段落したと思ったら雨がちな天気が続く。洗濯物が乾かない!
 それは世間一般でも言われてることなんだろーけど、僕の場合それだけじゃない。リビングの古絨毯をはがしてウッドデッキに広げ、デッキブラシでゴシゴシ洗ったら、予想以上に分厚くて、ちょっと日干しにしたくらいじゃ乾かない……と思ってたら雨季みたいな天気に突入しちまったのだ。とりあえず室内にとりこんだけど、毛足が長いせいでずーっと湿気を保ってる気がする。分厚くてでかいせいでえらい重たくて嵩張るし、どうにしかしてコインランドリーに運んだところで乾燥機に入らないサイズである。乾かすにゃあどーすりゃいいんだろ。
 まあ最悪、洗濯物が乾かないなら衣類を新しく買えばいいし、絨毯が乾かないままカビでも生えたら捨てりゃいい。困っちゃうのはくろべーで、そろそろシャンプーしてやりたいのに、この天気じゃあ洗ったら最後、そう簡単には乾かない。そう思うと迂闊に洗えない。そうこうするうち、雨でじめじめした天気が手伝って、ますます犬くさくなっていく……これもどーすりゃいいんだか。
 料理はそこそこできる僕ですが、他の主婦力はまるで低いので、ハウスキーピングについては頭を抱えるばかり。今週末からたくさん来客の予定だからいろいろきれいにしなきゃいけないってのに、ちっとも手につかないんだよなあ。


 そんな中、えーいやけくそじゃーと、今日は買物ついでにくろべーを車に乗っけてお出かけ。荒れ放題の家の中からの逃避かもしれない。
 で、美味しいパン屋さんで食料を買い出し、ドッグカフェでなかなかおいしいカレーのランチ。8月最終日とはいえ、小雨模様のせいか貸し切り状態で、広いフロアを僕とくろべーで占領してくつろぐ。雑貨もいろいろ売ってるのでのんびり見て回ってると、フロアの片隅に灯油ファンヒーターがあって……なんと暖房が入ってた!
 8月に灯油ヒーターが稼働してる状況ってのは生まれて初めてかもしれない。いやオーストラリアでは経験したかもしれないが、ありゃあ南半球だから8月は冬なのだ。天気悪いとはいえ、高原とはいえ、曲がりなりにも夏の終わりの8月31日なのになーと、ちょっと感動さえおぼえてしまった。
 まあ午前のうちは気温が20度を切るような天気だったし、森の中の広いドッグカフェだから建物内は冷えやすいのかもしれないけどね。ヒーターの設定温度は20度だったから、暖房入れたって不思議はないんだけど……そうやって暖房してあることが心地いいってのは、嬉しいような納得いかないような不思議な気分であった。

セカンドシーズンとアイスカフェラテ

新居で誕生日を迎えました

 気づけば7月も終わり、新居での暮らしも一カ月が過ぎた。
 引っ越してよかったなーと思うことは、くろべーが元気になって食欲もだいぶ回復したこと(涼しいからかな)、これまで住んできた歴代の住居に比べてたくさんお客が来てくれること、仕事や読書に集中できる空間があることって感じだろうか。
 『ホラベンチャー!』(http://www.f-bungei.jp/novel/novel_33_1.php)の連載は続けてて毎回苦心してるけど、他に秋に出る『シチュエーションパズルの攻防』の続編(諸般の事情により創元推理文庫から出ます)に向けて書き下ろし短編をって依頼があったり、やはり秋に出る『図書室のキリギリス』の文庫版の校正があったり、なんか7月下旬は妙に立て込んでる感覚である。――何度もぼやいてる気がするが、別に売れっ子作家ってわけでもないのに仕事が重なる時は妙に重なるのは何故だろー?

図書室のキリギリス

図書室のキリギリス


 何はともあれ、サンゴ先生十作目にあたる短めの作品は、構想から執筆から推敲までを全部この家でやり遂げた初めての作品となった。『ミステリードラマの決戦』(仮題)という、例によって妙なタイトルとなったが、編集サイドが納得してくれたらこれが表題作となるかも。
 こないだホワイトボードと、それ用のペン数色を買ったので、なんだか嬉しくてボード上でプロットを練る作業に凝り、構成を工夫した作品となった。短いなりにこれまでの連絡を引き受けてまとめるポジションの物語になった気がして、自分ではわりと気に入っている。――これまた例によって、ミステリーファンからは叩かれそうな気もするけど。
 でもミステリーファンの悪評ってのも不思議なもんだよね。前作『シチュエーションパズルの攻防』のあとがきで明かした通り、僕は作中で「読者への挑戦」風に問題を出したんだけど、発表して数年の間に正解者は誰もいなかった。とんでもなく難しい問題だってんならともかく、二者択一というこれ以上なくシンプルな問題だったにもかかわらず、である。ミステリー小説ってのが謎解きを追求した作品であり、作家の目的の一つが「読者を騙す」ってことであるなら、僕はしっかりそれを果たしたつもりなんだけど、でも評判悪いんだよなー。

シチュエーションパズルの攻防 (創元推理文庫)

シチュエーションパズルの攻防 (創元推理文庫)

 何故だろう? ……なーんて問うまでもなく、答えはなんとなく見当はついている。そのあたりの「謎の提示」と「考える楽しみ」に対するいろんな思いが、サンゴ先生セカンドシーズンの主要テーマだったのかなーと、書き終わってみてふと気づいた。
 どうも僕の中には、いわゆる名探偵物の構造に懐疑的というか、謎を解き明かす名探偵よりも謎を創り上げる作家の方をリスペクトする感覚があるようだ。だから辻堂珊瑚朗というのは文壇バーの安楽椅子探偵といいつつアンチ名探偵みたいな要素があるのだけれど、そういう傾向は『粗忽拳銃』の頃から変わってないのかもなーとも思う。
粗忽拳銃 (集英社文庫)

粗忽拳銃 (集英社文庫)

 そんなわけで、創元推理文庫に入れてもらうくせにミステリーとしてはへんてこな作品なんだけど……楽しんでもらえたり気に入ってもらえたりしたら嬉しいかぎり。


 今日も朝からちょこっと仕事して、午前のうちに図書館いって資料調べ。本やCDを借りた後でプールに向かい、1500ほど泳いだ後で気になるラーメン屋(辺鄙なところに手打ちの名店が点在してる土地柄なのだ)に寄って帰ろうとしたら休業日。ラトモの知人が念願のラーメン屋をオープンし、ネットにたくさん写真を載せているので、妙にラーメン欲求が高まってるんだけどなあ。
 仕方ないので、代わりに気なるパン屋(パン屋なら事欠かない土地柄なのだ)に寄った。昼食&夕食の買い出し……と思っていろいろ買って会計。なんか店主の声に聞き覚えがあるなーと思ったら、音域と喋り方が妙にさかなクンに似ていた。魚のパンはなさそうだったけど、生クリームの入ったパンを選んだら、レジからちょっと奥にひっこみ、その場でクリームを充填してくれる方式。確かに生クリームってくらいのもんで、寸前まで冷蔵庫で冷やしてるのが本来だよなあ。(生クリーム風なのに常温放置で売られてるものって、結構ヤバい植物脂肪のホイップらしいし)
 おいしそうなパンなので、早速車の中でかじろうかな……と考え、その前に飲物ほしいなーとコンビニに。セブンイレブンもアイスカフェラテを始めてたんだなあ。僕はしばらく前から(ファミマがエスプレッソマシーンを入れた頃?)コンビニのコーヒーが好きになってきたんだけど、この春くらいからアイスカフェラテが癖になっている。今度の家はセブンが近いので、新製品のアイスカフェラテにも期待したのだが……バニラアイスの粒が入ってて甘いのかあ。ファミマの方がいいや。へーゼルナッツのフレーバーが置いてあるとこで、ちょこっとだけ入れるのが一番のお気に入りなのだが、そういう店はなかなか見かけないね。

最後のプール回数券と最初の図書館カード

『カレーライフ』は貸出中?

 引っ越しの日。
 ……というか、引っ越し作業にかまけて1週間近く書くのが遅れてしまったが、とにかく6月いっぱいで借家を離れて新居に越すのである。
 既に何日かくろべーと共に新居と旧居(ってのも変な言い回しだが)を行ったりきたりして暮らしている。新居の方が涼しいおかげか、くろべーの体調もよくなってきてるし、僕ものんびり寛げそう……なのは予感だけで、引っ越しが片付かないとなかなか安心できない。今日も朝から新居で目覚め、老犬くろべーの食事やら何やらの面倒をみたあとで急いで下山。旧居のガスを止めるため、業者の人が朝9時にくることになってるのだ。
 くろべーは新居で留守番させて旧居に向かい、そこで友人と合流して手伝ってもらう……はずが、電話が入ってドタキャン。片付けや掃除は苦手なんで一人でやるとなると途方にくれるけど、昼過ぎまで汗を流してどーにか撤収完了。お世話になった建物にお礼を言って、いろいろ積み込んだ車で走り出した。


 7カ月ほど暮らした街を離れる前に、昼食でよく行った店に寄ってボンジリの焼き肉ランチをオーダー。――冬場だけ暮らした時は気づかなかったけど、夏場は付け合わせの麺類が素うどん・かけ蕎麦から、盛り蕎麦盛りうんどんに変わって食後のホットコーヒーがアイスコーヒーに変わるんだよな。
 食後はプールでひと泳ぎってのが、冬場からの習慣になっていた。市民プールの回数券が1枚だけ残ってたんで、それを使って泳ぎおさめ。いつもは1500m泳いでたけど、今日はさすがに引っ越しで疲れてるので1000m泳いだとこで切り上げた。
 プールの後はお役所に回って転居がらみの届け出を済ませ、ついでに図書館で利用登録。カード作成の待ち時間の間、書架を眺めて歩いてたら、ちゃんと竹内真コーナーがあるのを発見。なんかこー、自分の存在を受け入れてもらえてるような気がして嬉しくなる。
 で、出来上がったカードで初めて本を借りる際、仕事の資料として使いたいけど手元にない『シチュエーションパズルの攻防』を借りたんだけど……カードの名前と借りる本の著者名が同じなのって微妙に気恥かしいものだ。それを見た図書館員のお姉さんがくすっと笑ったような気がしなくもなかったし。

くろべーの回復とカレーライフの再演

痩せて白髪も増えたけど頑張ってるよ

 5月1日に14歳の誕生日を迎え、5月10日で僕と暮らして12年になるくろべー。春先から食欲減退・体力低下・体重減少と続いてたけど、5月半ばくらいからだんだんよくなってきている。
 ドッグフードをろくに食べようとしないので僕がいろいろ料理したり、一度に少量しか食べないので日に3度4度と食事の回数を増やしたり、あれこれ工夫する日々。小食の上に偏食で、気に入らない食べ物はそっぽむいたり口の中に入れてから「ぺっ!」と吐きだしたりしやがるのでおさんどん役としては泣きたくなるけど、それでもだんだん食べてくれる量が増えてきて、おかげで体重も少しだけ回復。暑い天気が続くとまいってるようだけど、体力も戻ってきつつあるようだ。
 かかりつけの獣医の先生も元気になったと言ってくれたし、レントゲン検査の結果も良好。老化の一環で気管が圧迫されて息が上がりやすくなっていて、毎日の投薬も続けているものの、特に何かの病気ではないと診断してもらってほっと一安心。
 最終的には老化には逆らえないんだとしても、体調悪化からは回復できるんだ、っていうのが今回学んだことだろうか。――くろべーを気づかってくれた皆さん、アドバイスやお見舞いをいただいた皆さん、本当にありがとうございます。まだまだ一緒にいたいので、できるだけ大事にしてやろうと思っております。


 そんな中、仕事がらみで嬉しい報せが二つ。
 まずは舞台『カレーライフ』が再演決定! 2015年10月17〜25日、六本木ブルーシアターにて上演だそうです。
 2011年の公演の時は、本公演のツアーの後で朗読劇として再演されたんだけど、今回はしっかりストレートプレイとしての再上演。キャストは一新されるそうだけど、前回の演出助手だった松森さんが演出を担当するほか、スタッフはなるべく前回に近い形で再結集するらしい。『カレーライフ』って物語には仲間たちの再結集を描いているって側面がありので、こうして演劇になり、現実世界でも再結集が果たされるのは、原作者として嬉しいかぎり。
 今んとこ、明治座で行われている滝口幸広さんの『滝口炎上』って公園に行かれたお客さんだけに速報チラシが配られて告知されてるらしいけど、今後キャスティングが進むにつれてだんだん情報が広まってく模様です。ご興味おありの方、拡散よろしく&お誘い合わせの上ご来場くださいませ。
 そうそう、脚本は基本的に前回のものを踏襲する方針みたいだけど、例によって書きたがりの原作者が「ラストシーンをちょっと手直しして、ベースキャンプ風味を強めたらどうかなー」なんて言っております。さてどうなることやら。


 あと、2012年に連載されて2013年に単行本が刊行された『図書室のキリギリス』の文庫化が決定。こちらも2015年秋に発売ってことで、書店はもちろんブルーシアターでも販売されるのかな。今度は文庫版『カレーライフ』と一緒に並ぶといいなあ。
 「司書室のキリギリス」ってタイトルで連載してた時には、小説に出てくる実在の本についてのブックトークコラムも読めるようになってたんですが、今回の文庫版の特典としてそのコラムが収録される予定。多少の加筆修正というか、どういう形で発表されたコラムだったのかって説明を書き加える予定です。
 連載当時、「こういう書評コラムみたいな仕事が増えるといいなー」なんて思ったんだけど、単行本では諸般の事情で収録されなかったため、しばらくお蔵入りとなっていたコラム群。文庫版で人目に触れて、それをきっかけにブックトーク的な仕事が増えるといいなーなどと思っている今日この頃。

くろべーの体調と言ちゃんの絵本

黒犬と白猫、いつか2ショット撮ろうぜ

 6時すぎ、寝床にしてるロフトの下でドタって音がして、慌てて飛び起きた。――どうやらくろべーが水を飲みにいこうとして、カーペットからフローリングの床にかわるところでつるっと滑って転んじゃったらしい。もう脚のふんばりがきかなくなってきてるんだなあ……
 昨夜つくったササミと温野菜のご飯もほとんど食べてくれなかったし、どうすりゃいいんだろーと朝から頭を抱える。とりあえず日中、滑り止めフロアシートみたいなのを買ってこようと思うんだけど……そもそもこのところ、どうもくろべーの元気がないのだ。
 散歩に出てもすぐ歩を止めて帰りたがるし、食欲ないのが困ったところ。一度おやつに当たったんだかアレルギーだかでお腹を壊して以来、いつも食べてるドライフード(グルコサミン配合の療法食)のにおいが嫌になっちゃったみたいで、ろくに食べてくれないのだ。療法成分をとらなかったらもっと悪くなっちゃうじゃないか、と心配で仕方ない。
 そこで先日、かかりつけの動物病院で診てもらった。先生いわく、「老化なんだから食べないのはしょうがない、好きなようにさせてやりな」とのこと。それからは鶏肉を茹でたり温野菜と和えたりして出し、療法成分はサプリメント的な犬用おやつで補給するようにしてるんだけど、それも時によっては食べてくれないんだよなあ。
 でも診察室で診てもらった時はドライブでお出かけして先生にかわいがってもらったせいか興奮気味で、その場で出してもらったフードは猛然と食いついてたいらげた。先生が桃太郎だったら鬼ケ島までついていきそうな勢いで、家で苦労してたのは何だったんだと思ってしまった。
 聞けば、そのフードはもともと、アレルギー症の犬のために開発された療法食なんだそうだけど、多くの犬や猫に対して「妙に食が進む」って効果があるんだそうな。「副作用みたいなもんだ」とのことだったけど、いい効果でも副作用って呼ぶんだな。肥満犬だと困るからかな。
 フードじゃなく、錠剤でも「アレルギー症の薬なんだけど食欲増進」っていうのがあるんだそうで、とりあえずそれを出してもらって帰ってきたのだが……今朝のくろべーはその錠剤も口に入れた後で「ペッ」と吐きだしてしまう。おめー、こないだ診察室じゃあこの錠剤もおやつみたいに喜んで食べてたじゃんかよー!
 結局、今朝は無理やり口に押し込もうとして失敗したあげく、チーズとかキュウリとかトマトとか、もともと好きな食材をちょっとずつ手にのせて食べさせた。それだって量としてはわずかなもんだし、これまで好きだったサプリ系ビスケットまで食べないのだから途方にくれる。どうしたらいいのかなあ……
 そんなくろべーも、明日5月1日で満14歳。諸説あるけど、大型犬の14歳は人間でいえば100歳くらいなんて話もある。飯食って元気になって、もっともっと長生きしておくれ。


 なんて心配ごとばかりで終わっては申し訳ないので、いいニュース。
 昨日4月29日に、絵本『ねこものがたり』が届いた。東京都墨田区ご当地キャラ、「向嶋言問姐さん」の絵本で、もしかしたら正式な書名は『向嶋言問姐さんのねこものがたり』かも。通称・言ちゃんという芸者猫の絵本を作りたいという企画で、僕は絵本の文章として参加させてもらってるのだ。
 絵を担当したのは絵本作家のしのづかゆみこさん、発行元はアポロ印刷。販売方法はちょっと独特みたいだけど、5月に入ったらアポロ印刷の公式サイトで通販が始まるみたいです。
 僕はもともと児童文学みたいなものも書いてたし、いつか絵本も出したいと思ってたので、こういう本に携われていい経験だった。ひょんなことから向嶋言問姐さん事務局ってところと知り合い、言ちゃんの絵本を出したいって話を聞いて、それなら絵本作家の方をご紹介しましょうか……なんてなことになって、あれよあれよと実現した企画なのだ。
 もともと向嶋言問姐さんってキャラは、「墨田区向島にちなんで芸者さんのキャラを作ろう、猫だったらかわいいかな」ってコンセプトで生まれたんだそうだ。特に細かい設定はなかったんだけど、キャラクター誕生の後で、墨田区の回向院に猫塚っていう猫好きの名所があるとか、名前の由来となった在原業平の和歌も猫に関係があるとか、いろんなつながりに気づいたりしたらしい。なら絵本を作る際は、そういう由来話や猫にまつわる伝承をいろいろ取り混ぜて一本の物語にしてはどうでしょう――なーんて提案して、僕がその文章を書くことになった。
 いってみりゃ、既に存在しているゆるキャラの設定や由来話のストーリーを僕が作ってしまったわけで、こういう経験も滅多にできるもんではない。いろんな猫の伝承を調べて物語にしていくのはとても楽しかったし、あとはこの絵本がいろんな人に楽しんでもらえることを祈るばかり。

定演の感想と新刊の反応

満員の会場を練り歩いて入場

 大田原高校の吹奏楽部の定期演奏会の日。『ぱらっぱフーガ』

ぱらっぱフーガ

ぱらっぱフーガ

の取材でお世話になったので、こないだ出たばかりの単行本を進呈すべく持参。入場の際に受付にプレゼント窓口があったので、見開きに一筆書いて預けておいた。吹部の皆さんに無事に届いてるといいのだけれど。
 にしても、去年の定演でも、取材にうかがった際も思ったけど、大高生ってみんな礼儀正しいなあ。合唱部との合同の演奏会、今年から夜の公演になったこともあってか、僕が到着した時には既に満員で二階席に回されちゃったけど、それはそれで上からステージ全体が見渡せて興味深かった。演奏中、こっそりパイプオルガン前の立ち位置まで移動している生徒の匍匐前進なんかも見られて面白かったし。
 客席からの入場から始まってピアニスト伊藤伸さんとの競演、ネットでも話題の『千本桜』、お馴染みの『宝島』から『サンバ・デ・ジャネイロ』で盛り上がるフィナーレと、圧巻なほど楽しいステージだったけど……僕がいろいろ書くより、実際の映像を見てもらった方が楽しいと思う。数日おくれの日記のおかげでユーチューブにアップされてるのを発見できたので、リンクはっておきます。

 『千本桜』でワールドオーダーのダンス、踊ってるのは『ぱらっぱフーガ』の取材でお世話になった3年生の面々、っていうかもう卒業生な方々。小説の中で創作したランダンプレも、彼らなら簡単にこなしちゃうんだろうなーと思える。終演後に挨拶できるようなら取材のお礼やコンクールの入賞のお祝いを言おうかと思ってたけど、退場の際も激込みだったので声をかけるタイミングがつかめなかった。

 もう1曲、ユーチューブで発見したのはこの曲。たぶん、演奏する生徒と踊る生徒がほとんど入れ替わってる状態だと思う。画面左下に小さなカウンターバーがあるのは、演奏開始前に寸劇も演じられていたからで、全体の構成が練られていてとても楽しい演奏会だった。2年つづけて見たら継承と変化の様子も楽しむことができたので、できたら来年も来たいと思う。ちなみに日程は既に決まってて、平成28年3月30日の夜、那須野が原ハーモニーホールで開催だそうだ。


 ところで、その新作長編『ぱらっぱフーガ』、僕の周りで買ってくれたって人がいつもより多くて嬉しい。これも吹奏楽ブームのおかげなんだろうか。それとも僕の周りには出版関係者よりも音楽やってる人の方が多い傾向があるから、そのおかげかな。
 連載中から、資料調べでお世話になった『あるある吹奏楽部』シリーズのオザワ部長さん

吹奏楽部あるある

吹奏楽部あるある

の取材を受けて紹介していただいたりしたけれど、刊行後にも取材依頼がきた。かの有名な『an・an』
an・an (アン・アン) 2015/04/08号 [雑誌]

an・an (アン・アン) 2015/04/08号 [雑誌]

で、お洒落な女性誌に僕が載るってだけでもびっくりである。
 おまけに著者近影の撮影もあるらしくて、さてどうしたもんだろうと思っている。かつて頭のおかしい作家志望者に絡まれたり脅されたりして以来、なるべくメディアに顔をさらさない方針でやってるんだけど、記事のフォーマットの都合もあるんだろうし、ちっとでも本の宣伝になることだったらなるべくやっておくべきってのも正論だし。
 そもそも火事で衣類の一切が焼失しちまった後、規格外の体型ってこともあり、面倒がってろくに服も買わずに今に至っている。ファッション誌に載る際にどんな格好すりゃいいのかなんて見当もつかんので、どうかすりゃジーンズとサンダルで出かけることになるかもしれんけど……『an・an』に載るなら服装の面倒くらいみてやるぞって奇特な方がいらしたらご一報ください。

グレードアップとモデルチェンジ

「あんまり無駄遣いすんなよ」の顔

 一五一会を買った。
 正確にいうと、一五一会のベーシック。
 世界一簡単に弾き語りができる楽器と言われる一五一会には、小さい方から奏生・音来・ベーシックと3種類ある。それぞれ値段や音域が違うんだけど、僕は最初、廉価版だし音域が男声向きだってことで音来を買った。その後、小説の中に一五一会を出すことを考え、もっと小型で指の力が弱くてもいいという奏生も購入。しばらく2台を使いわけたり人に貸したりして遊んでいた。
 しかし去年の火事の時、音来を焼失。奏生はたまたま車に積んでたので焼けずに済んだ。なので音楽欲が高まると奏生で遊んでたものの――やっぱり楽器としての音域が高いのがネックで、曲によっては結構つらい。僕は男にしちゃ声の高い方なんだけど(特に歌うと高くなるので人から意外がられる)、奏生はどちらかというと女性向けの楽器なんだなーと思ってしまった。
 で、いずれ新しい定住地に落ち着いたらもう一本買おう、その時はせっかくだから音来よりグレードアップしてベーシックを買おう、なんて考えていた。しかし家を探す前に中古のベーシックが手頃な値段で見つかり、ついつい欲しくなって買っちゃったのだ。
 まあ火事の直後は購買欲そのものが涌かなくて必要最低限のものだけちょっとずつ買いそろえるような暮らしをおくってたので、こうやって趣味の品に手を出すのは精神的に回復してきた証拠だってことにしておきたい。そろそろ春だし、元気出していかないとね。


 で、そのベーシックである。
 いそいそとハードケースから出し、チューニングしてぼろーんと弾いてみたら、やっぱり音の響きが違う。中古なのでどうも弦の調子が悪いけど、そのコンディションでも高音と低音がずーっと伸びていくような響き方だなと思う。正直、これまでは音来とベーシックの違いってどの程度なんだろうと首を傾げてたけど、たしかに定価の違いだけ音も違うんだなと分かった。
 ちなみに音来は2009年にモデルチェンジしたとかで、2008年までのモデルと2009年以降モデルを弾き比べてみたら音の伸びがまるで違った。音域は同じといっても、旧音来<新音来<ベーッシックって順に音の伸びと響きが違うって感じなので、これから買う方は参考にしてみてください。
 なーんて書くのも、つい先日、ついに僕の影響で一五一会ユーザーが誕生したから。ウクレレユーザーの友人が一五一会での演奏の楽さを気に入り、奏生を買ってくれたのだ。奏生もやはりモデルチェンジしていて、僕が持ってるのは2008年製の旧奏生、友人宅のは2009年製の新奏生。この音の違いもそのうち聴き比べたいなー。
 そりゃそうと、僕の指はしばらくの間にすっかり奏生に慣れていて、ベーシックのスチール弦の張力に負けがちになっている。1本指で4本の弦をべたっとおさえるコード弾きでしばしばしくじり、音が歪んじゃいがちなのだ。おまけに弦が古いと押さえが弱い場合のビヨ〜ンって音の外れ方が派手な気がするんだよなー。
 こりゃあ弦の張り替え&弾き方の矯正を済ませてからじゃないと、人前では弾けないなーと思う。まあもともと人前で弾き語る機会なんてほとんどないんだけど……手元に2本あると人と一緒に遊ぶ際に便利である。興味あるぞって友人知己の方はご一報あれ。